Handy氏は講演で、「シリコン・サイクル」が備える特性についても指摘していた。それは、「品不足による価格の安定が長く続くほど、その反動(値下がり幅)が大きい」というものだ。
半導体メモリの製造コスト(記憶容量当たりの製造コスト)は、時間の経過とともに低下する。その割合は、おおむね一定である。例えば品不足による価格の安定が半年間続いたときと、1年間続いたときを考えよう。半年後に製造コストが半分になったとしたら、1年後には製造コストはさらにその半分、つまり、4分の1に下がる。
この違いは、供給過剰になったときの値下げ余力の違いとなって現れる。半年間の品不足の後で値下げ競争になったときは、半導体メモリ・ベンダーは価格を半分近くにまで下げられる。これに対して1年間の品不足の後に値下げ競争になった場合は、価格を一気に4分の1近くにまで下げられることになる。
Handy氏は、1991年から2017年までに、半導体メモリ(筆者注:DRAMと思われる)の記憶容量当たりの価格とコストがどのように変化していったかのグラフを示した。品不足による価格安定と、供給過剰による価格崩壊の様相は、一部を除いておおむね、記憶容量当たりのコスト低減のトレンドに沿っていた。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.