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» 2019年01月31日 15時30分 公開

2023年までに量子コンピュータの実用化を目指すNECコヒーレント時間1ミリ秒(2/3 ページ)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

20年前から量子コンピュータ開発を手掛けてきたNEC

 NECは、約20年前から量子コンピュータの開発に取り組んできた。1999年には、量子コンピュータの基本素子である固体素子(超伝導)量子ビットの動作を「世界で初めて」(同社)実証したことに始まり、2007年にはビット間結合を制御可能な量子ビットの実証に成功。2014年には、超伝導パラメトロン回路を用いて、量子ビットの高精度、高速、非破壊な単一試行読み出しに成功している。

NECの量子コンピュータ開発の歴史(クリックで拡大)

 NECが現在注力しているのはアニーリング型だ。

 アニーリング型の性能指標としては、量子ビット数、コヒーレント時間、結合度、解像度の4つが主に挙げられる。一般的に、量子ビット数だけに目がいってしまうが、中村氏は「量子ビット数は、クルマで言うところのいわば排気量。大きければいいというものではない」と説明する。量子ビット数が多いと、試行の回数を増やせるので、もちろん利点はある。ただし、量子ビット数が多いと、今度は量子ビット自身がノイズになってしまうという問題がある。ノイズになると、量子重ね合わせの状態を維持できなくなり、コヒーレント時間が短くなる。つまり演算できる時間が短くなってしまう。

アニーリング型量子コンピュータの性能指標(クリックで拡大)

 中村氏は、上記4つの指標をバランスよく満たした技術が、NECの「量子パラメトロン方式」だと述べる。NECが、ゲート型量子コンピュータ向けに開発した超伝導パラメトロン素子を、量子アニーリングに適用して実現したものである。

左=量子アニーリング素子ウエハー/中央=ウエハーから切り出した量子アニーリング素子/右=素子を搭載した冷却器ホルダー。素子は赤枠内(クリックで拡大)

 この超伝導パラメトロン素子のビット数は、まだほんの数ビットである。ただし、「ノイズ耐性に優れていて、コヒーレント時間が長いことが特長」だと中村氏は述べる。

 一般的に、量子ビットは非常に小さいエネルギーで動く。NECの量子パラメトロン方式では、外部から大きなマイクロ波エネルギーを与えて量子状態(量子重ね合わせの状態)を始めるので、そのエネルギーがなくなるまでは、量子重ね合わせの状態を維持できるという。

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