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TSMC、新たに3000人の人材採用へ半導体業界は不調も

TSMCは、事業拡大と技術開発を推進すべく、新たに3000人の従業員を採用する予定だという。これは、現在の従業員数全体の約5%に相当する。

» 2019年08月02日 10時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

 TSMCは、事業拡大と技術開発を推進すべく、新たに3000人の従業員を採用する予定だという。これは、現在の従業員数全体の約5%に相当する。

 同社は、報道向け発表資料の中で、「新しい人材は全員、当社が事業拠点を置く台湾で採用する予定だ」と述べている。募集する職種は、半導体装置エンジニアや、開発エンジニア、プロセスエンジニア、プロセス統合エンジニア、製造ラインオペレーターなどだという。

 TSMCの従業員増加計画は、世界半導体業界の好転を示す一つの兆候といえるだろう。TSMCは2019年7月、2019年第2四半期の業績発表の場において、「当社は需要の増大を受け、1年間当たりの設備投資額を110億米ドル以上に増額する予定だ。これは、2019年初めの時点で目標値の上限としていた金額である」と述べている。

 一部のアナリストたちによると、TSMCは、QualcommやHuaweiなどの顧客企業から新たなビジネスを獲得しているという。

 米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでシニアアナリストを務めるMike Demler氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「Huaweiは、スマートフォンの売上高ランキングで順位を上げ、最近ではAppleを追い抜くまでになった。Qualcommは『Snapdragon 855』の製造をTSMCに戻しており、Samsung Electronics(以下、Samsung)との競争も激化している」と述べている。

 また同氏は、「TSMCとSamsungの7nm EUV(極端紫外線)プロセス技術は、性能や電力効率の面ではほとんど差がないが、密度に関してはTSMCの方が優勢を維持している」と続けた。

 TSMCは、「当社の5nmプロセス技術は力強く成長し、長期間にわたり使用されるノードになるだろう」と述べている。

 TSMCのCEOであるC.C. Wei氏は2019年7月、「5nmプロセスに関しては現在、大手メーカーがかなり積極的に5G(第5世代移動通信)スマートフォン向けチップで導入しようとしている」と述べた。同氏のコメントから、TSMCの最大顧客であるAppleは、2020年中にも「iPhone」向けプロセッサで5nmプロセス技術を採用するのではないかとみられる。

半導体業界は低迷の兆し

 TSMCにとって良いニュースは、ライバルたちにとっては悪いニュースとなり得る。

 米国の市場調査会社であるGartnerの予測によると、2019年の世界半導体売上高は、前年から約10%減少して4290億米ドルとなり、2017年以来最低となる見込みだという。Gartnerは2019年第1四半期の時点で、2019年の半導体売上高を3.4%減と予測していたことから、今回これを下方修正したことになる。

 TSMCは、3000人の人材採用に関するスケジュールについては詳細を明らかにしていないが、台湾の国営通信社The Central News Agency(CNA)の報道によると、2019年中には全人材を迎え入れる予定のようだ。

 7nmプロセスの量産適用が完了した後、TSMCは5nm、そして3nmプロセスの開発をさらに進めていく。同社は2020年前半にも、5nmプロセスでの生産を開始する予定となっている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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