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米Gyrfalconの超省電力AIチップ、12.6TOPS/Wを実現LGのスマホにも搭載されている

米Gyrfalcon Technology(以下、Gyrfalcon)は、民生機器向けの新しいAI(人工知能)アクセラレーター「Lightspeeur 5801」を発表した。同社にとって第4世代のAIアクセラレーターとなり、既にLG Electronicsのミッドレンジスマートフォン「Q70」に搭載され、“ボケ”などのカメラエフェクトの推論処理に使われている。

» 2019年11月22日 10時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 米Gyrfalcon Technology(以下、Gyrfalcon)は、民生機器向けの新しいAI(人工知能)アクセラレーター「Lightspeeur 5801」を発表した。同社にとって第4世代のAIアクセラレーターとなり、既にLG Electronicsのミッドレンジスマートフォン「Q70」に搭載され、“ボケ”などのカメラエフェクトの推論処理に使われている。

 Gyrfalconによると、Lightspeeur 5801は消費電力224mWで2.8TOPS(200MHz動作時)の演算性能(12.6TOPS/W)を提供し、4ミリ秒の遅延時間を実現する。クロック速度は50M〜200MHzの間で変更でき、性能と消費電力のトレードオフを可能にする。チップサイズは6×6mmで、前世代のエッジ推論チップである「Lightspeeur 2801」の4倍の大きさとなる448×448ピクセルの画像を処理できる。

Gyrfalcon のマトリックス処理エンジン(MPE)は、プロセッサインメモリ技術を使用してニューラルネットワークモデルの計算処理を行う 画像:Gyrfalcon(クリックで拡大)

 Gyrfalconでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるMarc Naddell氏は、「当社の技術は、性能だけでなく、性能とエネルギー効率の両立という、機械学習に求められる最も困難な課題に対処するために構築され、コスト的な課題にも対応できる」と述べている。「当社の創設者は、エッジAI市場への参入機会を捉え、このアーキテクチャを開発した。同アーキテクチャは、多種多様なデバイスの性能の機能を拡充し、データセンターやクラウドAIの実装をはじめ、その間に位置するあらゆる用途に対応できる」と述べている。

Gyrfalconの「Lightspeeur 5801」は、開発キットの形で発売されている 画像:Gyrfalcon(クリックで拡大)

 GyrfalconのMPEは、PIM(Processor In Memory)技術を使用してニューラルネットワークモデルの計算処理を行う。Lightspeeur 5801のMPEは約2万8000ノードと10Mバイトのメモリを備え、一般的なモデルに必要な性能を全てチップに盛り込むことができるとする。

 Lightspeeur 5801のMPEは、現在多くの画像処理モデルで使用されるアルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)向けに最適化されているが、オーディオデータをRGBイメージに変換することで、自然言語処理(NLP)用のオーディオ入力を処理することも可能だという。

 Naddell氏はEE Timesに、「Lightspeeur 5801の最低価格は、家電市場向けに約5米ドルに設定している。手頃な価格のホストプロセッサと組み合わせると2チップソリューションにはなるが、スマートフォン向けのミッドレンジSoC(System on Chip)よりもはるかに魅力的なものとなっている」と語った。

 Gyrfalconは現在、Lightspeeur 5801の開発キット「5801 Plai Plug」を提供中だ。5801 Plai Plugは、「ResNet」や「MobileNet」「VGG16」などの一般的なCNNと、「TensorFlow」「PyTorch」「Caffe」のフレームワークに対応している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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