今回は、Western Digital(WD)の2020会計年度第3四半期(2020年1月〜3月期)の業績を紹介する。
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)と米Western Digital(以降はWDと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はSeagateが2020年4月22日、WDが同年4月30日である。そこで前回と今回は、SeagateとWDの四半期業績を続けてご報告している。前回は、Seagateの四半期業績をご説明した。今回はWDの四半期業績をご紹介する。
WDの会計期間もSeagateと同様に7月から始まり、6月を決算月とする。4月30日にWDが発表したのは2020年1月〜3月の四半期業績で、会計年度では「2020会計年度第3四半期」となる。
2020会計年度第3四半期(2020年1月〜3月期)の売上高は前年同期比13.6%増、前四半期比1.4%減の41億7500万米ドルである。前年同期比は7四半期ぶりに増加に転じた。
2020会計年度第3四半期(2020年1月〜3月期)の営業利益(Non-GAAPベース)は前年同期に比べて2.3倍、前四半期比28.2%増の4億2700万米ドルである。粗利益率は27.9%で前四半期の25.9%から2ポイント上昇した。売上高営業利益率は10.2%である。前四半期の7.9%から、2.3ポイント増加した。
2020会計年度第3四半期(2020年1月〜3月期)の概要としては、NANDフラッシュメモリの価格が引き続き上昇傾向にあること、記憶容量が14TBの大容量HDDに対する要求が変わらず強いことなどを挙げていた。また、新型コロナウイルス禍による住宅(在宅業務)および教育(オンライン授業)におけるノートPC需要の高まりを受け、クライアントSSDの売り上げが過去最高となった。
部門別の売上高を見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
「データセンター用デバイス・ソリューション」部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前年同期比22%増、前四半期比2.3%増の15億2300万米ドルである。既に述べたように記憶容量14TBの大容量HDDが好調だった。また16TBと18TBのエネルギーアシスト型HDDが売り上げに貢献するようになった。このほか、96層の3D NANDフラッシュを搭載したNVMeインタフェースのエンタープライズSSDが20社を超える顧客で認証を完了をしており、100社を超える顧客で認証手続きが進んでいる。
「クライアント用デバイス」部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前年同期比13%増、前四半期比1.9%増の18億3100万米ドルである。既に述べたように、クライアントSSDの売り上げが大きく伸び、前年同期比と前四半期比の売り上げを押し上げた。NANDフラッシュメモリの価格は上昇傾向にある。
「クライアント用ソリューション」部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前年同期比2%増、前四半期比13%減の8億2100万米ドルである。新型コロナウイルス禍の影響と季節要因によって売り上げが低下した。
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