大日本印刷(DNP)は、マルチ電子ビームマスク描画装置を利用し、5nm対応EUV(極端紫外線)リソグラフィ向けのフォトマスク製造プロセスを開発した。
大日本印刷(DNP)は2020年7月、マルチ電子ビームマスク描画装置を利用し、5nm対応EUV(極端紫外線)リソグラフィ向けのフォトマスク製造プロセスを開発したと発表した。
EUVリソグラフィは、光源として波長13.5nmのEUVを用い、シリコンウエハー上に線幅数nmの回路パターンを形成することが可能となる。既に一部の半導体メーカーが最先端のマイクロプロセッサやメモリの製造工程で実用化している。
DNPは既に、半導体用フォトマスク製造にマルチ電子ビームマスク描画装置を活用している。今回、EUVリソグラフィ向けフォトマスクの製造工程に、マルチ電子ビームマスク描画装置を利用しても、高い生産性や精度が得られるよう、感光材料を含め新たなプロセス技術を開発し適用した。EUVマスクの微細構造に合わせ加工条件も最適化している。これらの技術によって、5nmプロセスに相当する高精度EUVリソグラフィ向けフォトマスクの製造を可能にした。
マルチ電子ビームマスク描画装置は、26万本の電子ビームを照射できるため、高解像レジストを利用できる。これにより、曲線を含む複雑な形状の回路パターンであっても、描画時間を大幅に短縮でき、描画精度も高いという。
DNPは今後、開発したプロセス技術を用いてEUVリソグラフィ向けフォトマスクを製造し、国内外の半導体メーカーや製造装置メーカーなどに供給する。2023年には年間60億円の事業規模を目指す。また、半導体の国際研究機関である「IMEC」との共同開発などを通じて、3nm以降の微細プロセスに対応する技術についても、引き続き開発に取り組む予定である。
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