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Amazon傘下のZooxがロボタクシーを発表NVIDIAのハードを採用(1/2 ページ)

2020年12月は自動運転車関連のニュースの多い月だった。中でも特筆すべきは、Amazon傘下のZooxがロボタクシーを発表したことだ。

» 2020年12月22日 11時30分 公開
[Egil JuliussenEE Times]

 2020年12月は自動運転車関連のニュースの多い月だった。自動運転システムを手掛ける米Aurora Innovationが米Uber Technologiesの自動運転部門であるUber Advanced Technologies Group(Uber ATG)を買収し、GM(General Motors)傘下の自動運転開発会社であるCruiseが米国カリフォルニア州サンフランシスコでドライバーレス自動運転車のテストを開始した。さらに、中国のBaidu Apolloが北京でドライバーレステストの許可を取得し、米国の自動車部品メーカーAptiveと韓国の自動車メーカーHyndaiが設立した合弁会社であるMotionalが、2023年に次世代ドライバーレス自動運転車を複数都市のLyftのネットワークに展開すると発表した。中でも特筆すべきは、Amazon傘下のZooxがロボタクシーを発表したことだ。

 Zooxのロボタクシーは、ロボタクシー用途向けに作られた専用車両で、期待にたがわぬ性能を備えている。

 Zooxは、「人が都市部を自律的に移動するために一から設計された自律型電気自動車である。センサーの位置から乗客の座席まで対称的な設計になっている。当社のロボタクシーは輸送の未来を変えると確信している」と述べている。

Zooxが発表したロボタクシーの外観と内装 画像:Zoox(クリックで拡大)

 次の表は、Zooxのロボタクシーについて筆者が見つけた公開情報をまとめたもので、車両の特徴やセンサー、生産などの情報を記している。詳細については、この表の下で説明する。

項目 概要/主な仕様
概要 自立型の電気自動車。現在「レベル4」対応で、Zooxは「レベル5対応も可能」としている
位置付け 「乗る」ことのみ想定して設計されている。「運転する」ことは想定していない!
テストを実施した都市 米国カリフォルニア州フォスターシティー、サンフランシスコ、米国ネバダ州ラスベガス
乗客向けの安全装置 3点式シートベルト、エアバッグ
スピード 最高時速は120km
バッテリー容量 133kWh(航続時間は16時間とされている)
パワートレイン デュアルモーターで冗長性を確保
センサー(カメラ) 各コーナーに7個ずつ(計28個)
センサー(レーダー) 各コーナーに5個ずつ(計20個)
センサー(LiDAR) 各コーナーに4個ずつ(計16個)
自動運転用ハードウェア NVIDIAのプラットフォームを採用
自動運転用ソフトウェア Zooxが開発したソフトウェアプラットフォームを使用
生産予定 米国カリフォルニア州フレモントの工場で製造予定。年間生産台数1万〜1万5000台の予定
Zooxのロボタクシーの主な仕様(筆者作成)

 Zooxのロボタクシーは現在、特定の都市や地域でL4(レベル4)ステータスを達成することに注力している。Zooxは「L5(レベル5)にも対応可能」としているが、筆者はそれは少なくとも10年先になるとみている。

ロボタクシーが装備しているカメラ(赤紫の箇所)と、LiDAR(青の箇所) 画像:Zoox(クリックで拡大)

 Zooxは、同社のロボタクシーを全ての乗客にメリットをもたらす、“乗客のために設計された自動車”と位置付けている。ハンドルや人間が操作する運転制御がないため、ドライバー向けではない。タクシー配車サービスのみに使用され、個人使用向けの販売はしないという。

 Zooxはこれまで、本社のある米国カリフォルニア州フォスターシティーと、サンフランシスコ、ラスベガスの3都市でテストを実施している。同社は、トヨタの「ハイランダー」を使ってロボタクシーのテストを行ってきた。車両管理局(DMV:Department of Motor Vehicles)の自動運転車テストデータにZooxの名前が初めて記載されたのは2017年3月で、ラスベガスでのテストは2019年10月に開始された。

 展開の時期は明らかにされていないが、2021年ではないという。展開の見通しについては後述する。

 Zooxは、衝突時に乗客の周りを繭のように包み込む革新的なエアバッグをシートに組み込んでいる。同社は、シートに安全性を追加するのではなく、安全性(特にエアバッグの安全性)を中心にシートを設計したのだという。シートには、4人の各乗客用に3点式のシートベルトが装備されている。

 Zooxの自動運転用ハードウェアは2台のコンピュータシステムで構成されていて、自動車本体の床に設置されている。2台使用するのは冗長性と信頼性を確保するためだ。ハードウェアには、NVIDIAが2017年10月に発表した「DRIVE PX Pegasus」が採用されている。NVIDIAによれば、DRIVE PX Pegasusのディープラーニングの処理性能は320TOPSだという。

 自動運転用ソフトウェアには、Zoox独自のものを使用した。同ソフトウェアは、ニューラルネットワークを用いた、歩行者/車両などの認知/予測モデルに基づいている。他社の自動運転用ソフトウェア同様、Zooxも位置情報技術に高精細マップを使用している。

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