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山火事発生をIoTで検知可能に、新興企業の取り組み課題はコストか(1/2 ページ)

数社の新興企業をはじめとするさまざまな企業が、山火事に関する早期警報を提供することが可能な、ワイヤレスセンサー搭載のIoTシステムの開発に取り組んでいる。現在、こうしたシステムを提供しているメーカーとしては、Dryad NetworksやLADsensors、Seidorなどが挙げられる。

» 2021年08月04日 09時30分 公開
[Dan JonesEE Times]

 地平線上に炎が揺らめき、制御不能な状態で谷間へと広がっていく。そしてその炎は、納屋などの建物を徹底的に破壊し、住宅街の家々を襲う。その後には、くすぶった家屋や、真っ黒に焦げた所有物が残され、人々の生活は完全に破壊されてしまった――。

最近、米オレゴン州で発生した山火事の様子

 これは、米国の西部で現在頻発している光景だ(参考/Guardian)。西部の山火事によって変化した空気質の影響は広範囲に及び、炎から発生した煙がシカゴやニューヨークにまで流れ、深刻な大気汚染を引き起こした。山火事の発生自体を阻止することは、技術の対応範囲を超えるが、その深刻さの度合いを緩和することなら可能ではないだろうか。現在、こうした主張を実証しようとしているIoT(モノのインターネット)関連企業が、数はまだ少ないながらも確実に増加している。

 米国では、山火事の激しさが年々増し、発生件数も増加していることから、非常に深刻な問題となっている。激しい山火事はここ数年の間に、アマゾン地域やオーストラリアなどでも猛威を振るうようになった。

 山火事が急増する原因については、さまざまな議論が繰り広げられている。例えば、明白な根本的原因として挙げられている気候変動の他、コロラド州で発生した5G(第5世代移動通信)携帯電話の基地局の火災や、ネバダ州で発生したターゲット射撃による火災のような、地域特有の発生原因など、広範に及ぶ。

 山火事は、その発生原因に関係なく、壊滅的な影響を及ぼす。そしてその発生頻度は、ここ数年で明らかに高くなってきている。全米省庁合同火災センター(NIFC:National Interagency Fire Center)によると、米国では2021年7月20日の時点で、83件の大規模な森林火災が発生しており、これまでに258万5492エーカーが焼失したという。また専門家たちは、「山火事は、世界全体の年間二酸化炭素排出量のうち約20%を占める」という驚くべき結果を明らかにした。

 米オレゴン州では現在、「Bootleg Fire」と呼ばれる山火事が発生しており、40万エーカーを超える森林が焼失しているという。また同時に、カリフォルニア州で発生した山火事「Dixie Fire」は、同州の3つの郡をまたぐ19万7000エーカーを超える面積を焼き尽くした。カリフォルニア州森林保護防火局(CalFire)によると、2021年7月26日の時点で、全体のわずか22%しか食い止められていないという。

 地球温暖化関連の研究と報道に取り組む科学者やジャーナリストたちで構成された第三者機関であるClimate Centralは、「山火事によって焼失する面積は、40年前と比べて平均で毎年約2倍に増加している」と述べる。

 山火事を防ぐには、どうすればよいのだろうか。「スモーキーベア(Smokey The Bear)」(米国森林局が企画する共同森林火災防止キャンペーンのマスコットキャラクター)に尋ねてみようか。

 山火事の発見が早ければ早いほど、食い止めるための対応は容易になる。火災が発生する前に危険な状況を検知することができれば、当局は大惨事が発生する前に阻止することが可能だ。しかし、森林地域の火災を早期に検知することは、非常に難しい。山火事が発生しやすい地域では、航空機モニタリングや衛星ベースのGPS技術などが開発される以前は、山火事を阻止するための方法として、天気予報や、軍による季節ごとの森林火災監視活動に頼る他、運に任せるしかなかった。

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