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QorvoがUnitedSiCを買収、SiC開発競争の最中に多様化戦略を展開へ(1/2 ページ)

Qorvoが、米国ニュージャージー州プリンストンに拠点を置くSiC(United Silicon Carbide)パワー半導体メーカーUnitedSiCを買収した。QorvoはこのUnitedSiC買収により、現在急速な成長を遂げている、電気自動車(EV)や産業用電力制御、再生可能エネルギー、データセンター用パワーシステムなどの市場へと対応範囲を拡大していくことになる。

» 2021年11月29日 09時30分 公開

 Qorvoが、米国ニュージャージー州プリンストンに拠点を置くSiC(United Silicon Carbide)パワー半導体メーカーUnitedSiCを買収した。QorvoはこのUnitedSiC買収により、現在急速な成長を遂げている、電気自動車(EV)や産業用電力制御、再生可能エネルギー、データセンター用パワーシステムなどの市場へと対応範囲を拡大していくことになる。

Qorvoのプログラマブルパワー部門担当シニアディレクター、David Briggs氏

 Qorvoのプログラマブルパワー部門担当シニアディレクターを務めるDavid Briggs氏と、UnitedSiCの前プレジデント兼CEO(最高経営責任者)で、現在はQorvoのパワーデバイスソリューション部門担当ゼネラルマネジャーを務めるChris Dries氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、今回の新たな買収とその市場への影響について、複数の側面を分析しながら語った。Dries氏によると、Qorvoがパワーエレクトロニクス市場に興味を持つきっかけとなったのは、Active-Semiを買収したことだったという。現在の目標は、UnitedSiCの化合物半導体製造能力を活用することにより、優れた多様化戦略を展開することだとしている。

 Briggs氏は、「Qorvoは、現在急速な成長を遂げているプログラマブルパワー市場において、もっと大きな足跡を残していきたいと考えている。今回の買収により、同市場への参入機会を加速させ、当社の柔軟なプログラマビリティとアナログ制御IPをUnitedSiCの製品と組み合わせたソリューションの開発に着手する予定だ。これにより、顧客向けにエンドツーエンドソリューションを実現していきたい」と述べている。

UnitedSiCのSiCパワーデバイス

 UnitedSiCは、ノーマリーオフ動作のデバイスを必要とするパワーエレクトロニクス用途向けに、カスコード構成のSiCを開発した。カスコード構成のJFETの上部にパワーMOSFETが配置され、この2つを一緒にパッケージ化することで超低熱抵抗を実現するという。

 UnitedSiCが提供する製品には、SiC-FETやJFET、ショットキーダイオードデバイスなどがある。JFET構造は最も基本的なSiCスイッチであり、ゲート酸化物がないユニポーラデバイスであるため、MOSFETに関連する一部の欠点を回避することができる。新しく開発した第4世代のSiC-FETは、最大動作電圧が750V、オン抵抗(RDS(ON))が5.9mΩであり、さまざまな業界において新たなレベルの効率性を実現することが可能だ。

 スイッチングとオン抵抗が向上すると、EV向けにより堅牢な新しいアプリケーションを実現できるようになる。例えば、トラクションドライブやオン/オフボードチャージャーの他、再生可能エネルギーインバーターの全ステージの電力変換や、力率補正、電気通信コンバーター、全般的なAC-DCまたはDC-DC電力変換などが挙げられる。

 QorvoとUnitedSiCのこれまでの実績を組み合わせることにより、車載用ソリューションに関する差別化がある程度可能になるだろう。Briggs氏は、「SiCが提供するアーキテクチャは、パワーアーキテクチャ全体に向けたさまざまなソリューションや制御機構を差別化する機会を提供する。われわれの目標は、顧客企業向けに安全性/制御、システム性能全体の最適化などの面で付加価値を提供していくことだ。合併によって今後前進していく上で、さまざまなものを検討していく必要があるだろう」と述べる。

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