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数百量子ビット集積の処理装置、5年以内に実現目指すInfineonとOxford Ionicsが協業(2/2 ページ)

» 2022年08月04日 11時30分 公開
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2022年内にもOxford Ionicsのデバイスがクラウドで利用可能に

InfineonのStephan Schaecher氏 出所:Infineon Technologies

 量子コンピューティングにおける大きな課題は、スケーラビリティと性能向上である。Oxford Ionicsによると、同社の技術はこの両方を提供できるという。さらに、Infineonとの提携によって、その柔軟で成熟した半導体プロセスと組み合わせることで、商用QPUの実現を加速できるとしている。

 Ballance氏は、「InfineonとOxford Ionicsがこれまでに製造したデバイスは、新たな機能を開発し、ほんの一握りの量子ビットを制御するために最適化されている」と述べる。

 「本当に重要なのは、レーザーではなくチップに組み込まれた回路を使用して量子ビットを制御し、超大規模統合の道筋を提供することだ。Oxford Ionicsは、EQCアーキテクチャにおいて、単一量子ビットのゲートエラー率を0.0001%(1ppm)未満、2量子ビットのエラー率を0.1%レベル(99.9%の忠実度)に抑えている。InfineonとOxford Ionicsの目標は、5年以内に完全に統合された個別のQPUを実現し、ネットワーク型量子スーパーコンピューティングクラスタに、ネットワーク化した数百の量子ビットを提供することだ」(Ballance氏)

 2022年末までに、Oxford Ionicsの最初のデバイスがクラウドで利用可能になり、ユーザーはこれらの量子コンピュータを利用できるようになるという。さらに、2年以内に、数百量子ビットに拡張することを目指すとしている。InfineonとOxford Ionicsは、Oxford Ionicsの量子ネットワーキング技術を使用して、5年以内に数百量子ビットの完全統合スタンドアロンQPUを提供したいと考えている。Infineonは、低エラーレートで大量の量子ビットを実現するために、技術と製造、組み立ての基盤を提供するという。

 Schaecher氏は、量子を業界に導入する上で最も困難な側面の一つとして、次のような指摘をしている。「量子コンピュータを実用化するには、物理学の理解とアプリケーションのノウハウ、ビジネスの洞察力を兼ね備えた専門家とマネジャーが必要だが、現時点ではその数は不足している」(同氏)。そのため、必要な知識ベースを共同で構築するためにQUTAC(QUantum Technology and Application Consortium)を共同設立したという。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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