「車載用アプリケーションには、信頼性と耐久性が必要だ。そこで自動車市場は、カメラを利用している業界から着想を得た。そこでは、非常に素晴らしいバリュープロポジション(価値提案)が行われている」(Henderson氏)
Henderson氏は、「一部のデータはクラウドに転送されるが、データの全てが必ずしも最高品質のデータというわけではなく、クラウドに転送するに値しないものもある。現在販売されているリムーバブルカードは、4カ月分の映像を保持して、オンデマンドですぐに引き出すことができる」と話している。
産業用ストレージおよびセキュリティ製品のメーカーであるSwissbitも、産業分野を重要な市場と捉えている。ただし、MicronがSDカードについて語っているのに対し、Swissbitは、性能と耐熱性、堅牢性、柔軟性といった点から、産業用メモリカードの開発において次に重要な飛躍を遂げるのはCFexpressだと見ている。
Swissbitの北米担当ゼネラルマネジャーを務めるGrady Lambert氏は、「CFexpressは長い間、デジタルカメラに使用されてきた。同技術は10年以上前、一部で“斜陽ビジネス”と見なされていたにもかかわらず、現在は迅速な交換やメモリのアップグレードを必要とするあらゆるアプリケーションに理想的な選択肢となっている」と語る。
Lambert氏はさらに、「CFexpressが産業や医療、ゲームなど、多くの市場にとって魅力的な理由は、取り外し可能なことだ」と付け加えた。同氏は、「ファクトリーオートメーションは、汚れた環境で行われるため、オペレーションを大きく中断することなくデバイスを簡単に交換する必要がある。Swissbitの『G-20』シリーズのようなCFexpressカードの柔軟性と堅牢性、性能は、特に産業のユースケースに適しており、特別なファームウェアの調整でさらに最適化することができる」と説明している。
MicronがSDカードは車載アプリケーションの需要を満たすと考えているように、容量に制限があってもCFexpressにもチャンスの可能性はある。これは、車載市場ではPCIe、さらにはNVMeがシェアを獲得し始めており、多くのシステムが相互に区分化されているためである。Lambert氏は、「CFexpressを使用すれば、洗練されカスタマイズされた命令セットでホストがカードと直接通信できる」と述べている。
リムーバブルカードは自動車だけでなく、より広範な輸送分野に利用できる。その一例が、列車だ。列車では、ブラックボックスタイプのアプリケーションやその他のデータロギング機能のために、取り外し可能で耐久性のあるデバイスを機器から簡単に引き出すことができるようになっている。
Lambert氏は、「Swissbitは、輸送や産業、ファクトリーオートメーション、セキュリティアプリケーション向けのSDカードも提供しており、ドローンは成長セグメントだ」と述べている。政府や軍事用途では、取得したデータを操作できないようにする必要があるため、SDカードのセキュリティ機能により、情報を安全に取り出して分析可能な場所に持っていくことができる。
Lambert氏によると、Swissbitは、当初は組み込み型eMMCを採用していたものの、フラッシュストレージに問題が発生した場合、エンドユーザーが問題を解決するにはシステム全体を返却するしかないため、その決定から手を引く顧客によく遭遇するという。「われわれは、特に産業分野で、顧客に選択肢を提供したいと考えている」(同氏)
セキュリティや監視の市場がクラウドベースのソリューションに移行しても、カードが取り外し可能であることを必要とする市場はまだかなり残っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.