三菱電機の2022年度上期業績は、売上高2兆3396億円(前年比2012億円増)、営業利益805億円(同573億円減)、当期利益748億円(同300億円減)であった。
インフラ部門は、社会インフラ事業が交通事業の減少、電力システム事業が国内の発電事業の減少、防衛・宇宙システム事業が大口案件の増加、全体では微減収だったが、売上原価率の悪化や防衛・宇宙システム事業の採算悪化で、赤字に転落した。インダストリー・モビリティ部門は、FAシステムが半導体/電子部品/蓄電池関連の設備需要増大、自動車機器事業が電動化関連製品や電装品の増加で増収だったが、素材価格や物流費の上昇が円安効果より大きく、減益になった。ライフ部門は、ビルシステム事業がアジア/国内需要の増加、空調・家電事業が国内外の空調機器の増加、全体では増収だったが、やはり素材価格や物流費の上昇が円安効果より大きく、減益になった。ビジネスプラットフォーム部門は、情報システム・サービス事業がIT関連需要の増加、電子デバイス事業がパワーデバイスや光半導体の需要増加、全体でも増収増益となった。
2022年度通期業績予想は、売上高4兆9700億円(前年比4,932億円増、前回予想比2000億円増)、営業利益2700億円(同179億円増、前回予想から据え置き)、当期利益2150億円(同115億円増、前回予想から据え置き)としている。売り上げ見込みは増えているのに円安効果を享受できず、収益の改善に及んでいない点に、やや物足りなさを感じる。
NECの2022年度上期業績は、売上高1兆4554億円(前年比726億円増)、調整後営業利益312億円(同109億円減)、調整後当期利益157億円億円(同103億円減)であった。
社会公共部門は、前年度の都市インフラ向け大型案件の反動で減収減益となった。社会基盤部門は、航空宇宙/防衛領域での案件増に加え、連結子会社の日本航空電子工業の好調により増収増益になった。エンタープライズ部門は、全体的に需要が旺盛で増収増益となった。ネットワークサービス部門は、海外5Gの戦略受注案件に関連する費用計上、長期性棚卸の引当などによる損失計上など、大幅な赤字になった。グローバル部門は、円安の影響で増収だったが、一時的な費用増で若干の減益を余儀なくされた。
2022年度通期業績予想は、売上高3兆1300億円(前年比1159億円増)、調整後営業利益1850億円(同140億円増)、調整後当期利益1150億円(同522億円減)、期初予想から変更はないが、上期の業績が大きく前年割れしており、下期の業績回復が必須の状態である。同社は受注状況が好調なので達成は可能としているが、このレベルに留まってほしくない、というのが同社に対する筆者の本音である。これから5Gサービスが世界中で立ち上がろうとする中、NECはもっと注目されるべき存在であるべき企業のはずだ。
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