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TSMCがドイツに「欧州設計センター」新設へ、25年7〜9月に技術ロードマップと現状への言及も(1/2 ページ)

TSMCはオランダで開催したイベントにおいて、ドイツ・ミュンヘンに「European Design Center(欧州設計センター)」を設立すると発表した。2025年第3四半期(7〜9月)に開設し、欧州の顧客企業をサポートしていく予定だ。

» 2025年06月02日 09時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 TSMCは、オランダのアムステルダムで2025年5月27日(オランダ時間)に開催した年次イベント「TSMC Europe Technology Symposium」において、ドイツ・ミュンヘンに「European Design Center(欧州設計センター)」を設立すると発表した。2025年第3四半期(7〜9月)に開設し、欧州の顧客企業をサポートしていく予定だ。

工場建設中のドレスデンではなく、ミュンヘンを選んだ理由

 TSMCは、欧州設計センターについて「当社にとって10カ所目となる設計センターとして、台湾や米国、カナダ、中国、日本などをまたぐ設計センターネットワークに参加することになる」と説明。なおN16およびN28プロセス技術を導入する新工場を建設中のドレスデンではなく、ミュンヘンを選んだ理由は「欧州の顧客企業に近い場所だからだ」と述べている。

 2025年5月27日に行われたメディアブリーフィングによると、TSMCは欧州設計センターによって、自動車や産業アプリケーション、AI、テレコミュニケーション、IoTなどのさまざまな分野の新しいアプリケーション向けに最適化された半導体チップ設計を促進。同時に、EU全体で自動車/不揮発性メモリ分野の専門知識を育成/拡大し、急激に成長する抵抗変化型メモリ(RRAM)/磁気抵抗メモリ(MRAM)のイノベーション推進に注力しながら、業界が組み込みフラッシュ(eFlash)技術の枠を超えて進んで行けるよう支援することを目的としているという。

N2は、25年後半の生産開始に向け順調

 技術ロードマップの観点から見ると、今回の欧州イベントでは、2025年4月に米国カリフォルニア州で開催された同様のイベント「North America Technology Symposium」で発表された、プロセス技術とパッケージングの開発について何度も触れ、A14やA16、N2、N3の各プロセス技術の他、同社の3Dシリコン積層や先進パッケージングなどに関する最新情報も提供された。また、電力供給密度を高めるための統合電力供給などの要素についても言及している。

TSMCの先進技術ロードマップ TSMCの先進技術ロードマップ[クリックで拡大] 出所:TSMC

 TSMCは「N2については、2025年後半の生産開始に向かって順調に進んでいる。256Mビット SRAMの平均歩留まりは90%を超える。N2の2年目の新規テープアウト数は、同じく2年目のN5と比べると4倍に増加している。一方N2Pは、N2と比べて同じ電力で18%の速度向上と、同じ速度で36%の電力削減を実現し、2026年後半の生産開始を予定している」と述べていた。

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