イメージセンサーを扱うI&SS分野を詳しく見ると、為替の影響やモバイル機器向けイメージセンサーの増収によって売上高は前年同期比28%と大幅増の4172億円となった。営業利益は製造経費や研究開発費などが増加したものの、為替の好影響から同31%増の849億円で、売上高、営業利益ともにこの分野の四半期業績として過去最高を記録した。
通期の売上高見通しについては、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量減を見込み、前回見通し(11月時点)から200億円減の1兆4200億円とした。スマホ市場は中国においてミッドレンジ/ローエンドを中心に軟調が続き、足元ではこの傾向がハイエンド商品においても一部顕在化しているが、十時氏は「おおむね前回見通しで想定した範囲に収まっている」と説明。同社は、スマホ市場が2023年度後半から緩やかに回復すると想定しているという。
また、Appleによる減産が報じられているが、十時氏は、「顧客の生産調整に伴った影響は、今のところ軽微だ。第4四半期に関してはまだ見極めが必要だと思っている」と語っていた。
同社はイメージセンサーの大判化など、高付加価値センサー導入を積極的に進めてきたが、十時氏は、「フラグシップモデルに向けた当社大判/高画質センサーの販売は、前年度から大きく伸長し、当分野の大幅な売り上げ成長をけん引している」と説明。「モバイルセンサーの大型化や高画質、高性能化のトレンドに対する確信度が高まったことは、当四半期の大きな成果だ」と述べ、市場でのさらなるシェア拡大に向け、中長期的な生産能力増強の投資について検討していく方針を示した。また、車載向けイメージセンサーについても、売上高が前年度からほぼ倍増という大きな伸びを見せているといい、「2023年度以降も引き続き高い成長率で拡大すると見込んでいる」と期待を見せていた。
ウエハーベースの生産能力は、第3四半期が月産13万6000枚(3カ月の平均値)で稼働率は9割程度だったが、十時氏は、「熊本で産業向けイメージセンサーの需要減を受けた稼働調整を行ったが、モバイル向けの自社設備はフル稼働を維持している」と述べた。
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