Intel CEOのPat Gelsinger氏は2023年2月のカンファレンスコールで、同社の事業に回復の兆しが見られると語った。
米国トップの半導体メーカーであるIntelのCEO(最高経営責任者)を務めるPat Gelsinger氏は2023年2月22日(米国時間)、CEOに就任してからの約2年間で初めて、同社の事業に回復の兆しが見られると述べた。だが、米国EE Timesが話を聞いたアナリストらは、それほど楽観的な見解を示してはいない。
Gelsinger氏は2月22日、アナリストとの臨時の電話会議で、同社が年間配当を1株当たり50セントに引き下げた理由を説明した。
同氏によると、「4年間で5つのプロセスノード」を実現するために必要な設備投資を維持しており、2022年と2023年は生産量を削減するという。2023年の設備投資の増強は、当初の目標である売上高の35%に対して、30%台前半を目指すとしている。生産能力の拡大に向けて、2023年は約200億米ドルを投資する計画だという。
Gelsinger氏は、「2023年は、実行エンジンを再構築し、パフォーマンスとコストにおけるリーダーシップを取り戻すためのターニングポイントになると考えている。これは、当社の事業全般にわたって回復の兆しが見え始めていることからも明らかだ。4年間に5つのプロセスノードを実現するという目標を、予定通り、もしくは予定より早く進めている」と述べている。
同社は、次世代以降のプロセスノードに対し、今後数年間で新たなファウンドリー顧客を見込んでいる。Intelは、数年前に同社からテクノロジーリーダーシップの座を奪ったトップファウンドリーであるTSMCの競合であり顧客でもある。
Gelsinger氏は、「新しいトランジスタ構造である『RibbonFET』と『PowerVia』の登場により、Intelのプロセスノード『20A』と『18A』は、2025年までにトランジスタ性能と電力性能のリーダーシップを取り戻す道を開くと確信している。2023年後半には18Aのファウンドリーの顧客を発表する予定で、サードパーティーによる承認を心待ちにしている」と述べている。
同社は、プロセッサ事業においても、顧客を獲得しているという。
「当社の顧客の状況は、強力な製品と数四半期にわたる市場シェアの増加によって、順調に回復している。『Sapphire Rapids』は、CPUと高ネットワーク、セキュリティにおける明確なリーダーシップを確立し、サーバ市場のシェアが安定し始めており、順調に生産を進めている。『Emerald Rapids』は2023年後半の投入に向けて順調に準備が進んでおり、さらに優れたパフォーマンスを発揮すると期待している。2024年に投入を予定している『Sierra Forest』と『Granite Rapids』は、既に初期のプロセスや製品の健全性を示している」(同氏)
それでもアナリストは、「Intelが配当金を減額した背景には、米国の半導体製造の国内回帰を支援するために最近成立したCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の一環として米国政府が提供する助成金を、得られるようにするという目的もある」と指摘する。
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