秋田大学は、航空機や車載システム向け超高速モーター用「高磁束プラスチック磁石ローター(回転子)」を試作した。プラスチックが約半分を占める磁石で、従来の焼結磁石ローターと同等以上の性能が得られることを確認した。
秋田大学は2023年6月、航空機や車載システム向け超高速モーター用「高磁束プラスチック磁石ローター(回転子)」を試作したと発表した。プラスチックが約半分を占める磁石で、従来の焼結磁石ローターと同等以上の性能が得られることを確認した。
秋田大学は、内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」の交付事業を受け、2021年3月に電動化システム共同研究センターを設置した。同センターが中心となり、航空機システムの電動化に向けて、モーターやインバーターの研究開発を行ってきた。
今回はIHIとの共同研究や、秋田県内の企業である宮腰精機やフルヤモールド、小林工業との連係により、航空機や自動車に向けた超高速モーター用高磁束プラスチック磁石ローターの試作品を開発した。
高磁束プラスチック磁石ローターは、永久磁石とプラスチックの複合材料(コンポジット材料)を射出成形し、同時に溶融したプラスチックに混合した粉末磁石をハルバッハ配列と同様(極異方性)に磁場配向している。これによって、磁石の利用効率を最大化し、大出力(高効率)化や小型化、軽量化を実現した。機械加工工程も削減できるという。さらに、射出したプラスチック磁石を高強度のカーボンファイバー複合材(CFRP)リングで覆い、毎分10万回転を超えるモーター回転数にも耐えられる構造とした。
同センターは試作品の特性を評価した。設計上の磁力が100%磁石である従来の焼結磁石製ローターと同等以上の性能が得られるため、レアアースの使用量を削減することが可能となる。
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