秋田大学と日本大学による研究グループは、負極にシリコンを用いる「リチウムイオンキャパシター(LiC)」において、長寿命化を可能にする技術を開発した。極めて薄いシリコン負極を用いることで実現した。
秋田大学の熊谷誠治教授と日本大学工学部の江口卓弥助教らによる研究グループは2023年8月、負極にシリコンを用いる「リチウムイオンキャパシター(LiC)」において、長寿命化を可能にする技術を開発したと発表した。極めて薄いシリコン負極を用いることで実現した。
LiCは、リチウムイオン電池(LiB)と比べエネルギー密度は低いが、出力密度とサイクル寿命に優れている。シリコンはリチウムイオンの吸蔵容量が黒鉛に比べ約10倍ある。これを負極材料として用いれば、蓄電デバイスのエネルギー密度を高めることができるという。しかし、シリコン粒子は大量のリチウムイオンを吸蔵すると膨張し、放出すれば縮小する。このため、充放電を繰り返し行うと、負極構造が破壊するという課題があった。
研究グループは今回、直径が2μmの安価なシリコン粒子を用いて、厚みが異なる堆積層のシリコン負極を製造した。これを組み込んだLiCを試作し、充放電試験を行った。この結果、堆積層の厚みが粒子径の5倍に相当する、10μm厚のシリコン負極を用いたLiCが、最も長いサイクル寿命となった。3万回の充放電サイクル後でも、エネルギー密度の維持率は78.3%と高い。
さらに、約1kW/kgの出力密度においても、100Wh/kgに近いエネルギー密度が得られた。堆積層が薄いと電極材料自体も少なくなり、必然的にエネルギー密度や出力密度が向上したという。
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