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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

10万円の漏水検知システム開発キット 「DIY感覚」で手軽に構築エイブリックなどが共同開発

エイブリック、アットマークテクノ、ソラコムの3社は2024年2月7日、エイブリックの「バッテリレス漏水センサ」を活用した漏水検知IoT(モノのインターネット)開発キットを共同で開発したと発表した。10万円以下で、手軽に漏水検知システムを導入できることが特長だ。

» 2024年02月14日 13時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

 エイブリック、アットマークテクノ、ソラコムの3社は2024年2月7日、「漏水検知IoT(モノのインターネット)開発キット」を共同開発したと発表した。同日からチップワンストップで販売を開始していて、参考価格は9万200円(税込み)。

 漏水検知IoT開発キットは、エイブリックのバッテリ不要、無線式で簡単に設置可能な「バッテリレス漏水センサ」、アットマークテクノの省電力IoTゲートウェイ「Armadillo-IoTゲートウェイ A6E」で構成される。アットマークテクノが提供するサンプルプログラム「Node-REDコンテナ」をインストールすることで、それぞれを簡単に接続できる。

 ソラコムの「SORACOM IoT SIM」、ダッシュボード作成/共有サービス「SORACOM Lagoon」などのプラットフォームサービスとも連携しているため、サーバやアプリケーションを準備することなく利用を開始できる。利用には別途ソラコムとの契約が必要で、初期費用が約1000円(税込み)、月額料金が約500円(税込み)だ。

漏水検知IoT開発キットの構成品 漏水検知IoT開発キットの構成品[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 漏水検知IoT開発キットの開発手順は、ソラコムが運営するWebサイト「IoT DIYレシピ」にて無料で閲覧可能だ。この手順書を活用することで、PCやタブレットなどで簡単に、DIY(Do It Yourself)感覚で現場に合ったシステム構築ができる。システム構築にかかる時間は約150分(目安)で、「日頃からPCを操作している人であれば、問題なく設定できる難易度だ」(ソラコム担当者)という。その他、センサーを取り付けた現場を撮影するためのUSBカメラや、漏水が発生した際にアラートとして活用する信号灯の追加接続にも対応する。

漏水検知システム構成イメージ 漏水検知システム構成イメージ[クリックで拡大] 出所:エイブリック

 エイブリックは、漏水検知IoT開発キットの価格について「(多くの企業で)購入に稟議が必要となる10万円以下での提供を目指した。バッテリレス漏水センサを活用する場合、カスタマイズしたシステムは約100万円、基本的なシステムでも数十万円は必要だった。今回、顧客側でシステムの設定をしてもらうことで、低価格化を実現できた」と説明した。

 チップワンストップを含めた4社は現在、20セット限定で7万2160円(約20%割引)になるキャンペーンを実施している。まずは2023年度内に20セット販売することを目指す。その後の販売目標として、2024年度に300セット、2027年度に3000セットを掲げる。

 ソラコム担当者は「漏水関連の課題がある場合は、まずは1セットから使ってもらいたい。漏水検知システムを一から自力で構築するのはかなりの労力がかかる。漏水検知IoT開発キットは、利用者が手順に沿って自分で構築できるように必要なものを1つにまとめている」と述べ、アットマークテクノ担当者は「Armadillo-IoTゲートウェイ A6Eは、簡単に設定できるだけでなく、プログラムをノーコード/ローコードで自由に変更できる。個々の用途に合わせて、カスタマイズして使ってほしい」とコメントした。

 チップワンストップ担当者は「漏水検知システムを導入する場合のエントリーモデルとして適している。カスタマイズを進める中で必要なものがあれば、USBカメラや信号灯、バッテリレス漏水センサ単体での販売にも対応している」と語った。

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