次世代電池用イオン伝導ポリマー膜、東レが開発 : イオン伝導度はこれまでの10倍
東レは、イオン伝導度をこれまでの10倍に高めた次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を開発した。金属リチウムを負極に用いた全固体電池や空気電池などの実用化に弾みをつける。
東レは2024年3月、イオン伝導度をこれまでの10倍に高めた次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を開発したと発表した。金属リチウムを負極に用いた全固体電池や空気電池などの実用化に弾みをつける。
電気自動車(EV)や産業用ドローン、UAM(Urban Air Mobility)などの航続距離を延ばすため、リチウムイオン二次電池では高エネルギー密度化が求められている。こうした中で、高い理論容量を持つ金属リチウムを負極に用いた次世代電池の開発が進められている。ただ、金属リチウムを負極に用いるには安全性などに課題があり、まだ実用化に至っていないという。
東レは、アラミドポリマーの分子設計技術を駆使し、「ホッピング伝導」によりイオン伝導性を有するポリマー膜を開発してきた。今回、ホッピングサイト構造を改良し、サイト数を増強したポリマーを新たに設計した。これにより、ホッピング伝導型ポリマー膜としては最高レベルとなる10-4 S/cm台のイオン伝導度を実現した。
左図は従来微多孔膜と開発品の位置づけ、右図はホッピング伝導のイメージ[クリックで拡大] 出所:東レ
開発したポリマー膜を金属リチウム表面の保護膜として用いれば、安全性など従来の課題を解決し、電池の寿命を向上させることができるという。また、リチウム空気電池のセパレーターとしてポリマー膜を用いることで、100回の充放電サイクル作動を確認した。空気電池の作動検証については、三重大学大学院工学研究科の今西誠之教授と共同で行った。
東レ、MLCC離型用ポリエステルフィルムを増産
東レは、MLCC離型用のポリエステルフィルム「ルミラー」について、生産能力を増強すると発表した。岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造し、生産能力を現在の1.6倍に増やす。2025年に稼働予定。
使用済み電池からリチウムを回収する分離膜を開発
東レは2022年8月、使用済みリチウムイオン電池からリチウムを回収できるナノろ過(NF)膜を開発したと発表した。既に現役を用いた回収評価を開始し、早期実用化を目指すとしている。
東レ、空気電池用イオン伝導ポリマー膜を開発
東レは、リチウム空気電池のセパレーターに向けた「イオン伝導ポリマー膜」を開発した。開発したポリマー膜を適用することで、リチウム空気電池の安全性向上と長寿命化を可能にする。
Li金属負極採用の全固体電池、−25〜120℃で動作
デンソーと九州大学の研究グループは、新しい焼結機構を活用することで、750℃という低温焼結とLi金属への安定性を両立させた「固体電解質」を開発したと発表した。Li金属負極を用いて作製した全固体電池は、−25〜120℃という広い温度範囲で動作することを確認した。
75% DODで2000サイクル使用できる超小型全固体電池
フランスの小型電池メーカーITEN(アイテン)は、「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15〜17日/パシフィコ横浜)に出展し、超小型の全固体電池を展示した。長寿命が特長で、75% DOD(放電震度)で2000サイクル使用できるという。
トヨタと出光が全固体電池の量産に向け協業、27〜28年に実用化
トヨタ自動車と出光興産は2023年10月12日、全固体電池の量産化に必要な硫化物固体電解質の開発やサプライチェーン構築に向けて協業を発表した。全固体電池の実用化は、2027〜2028年を目指している。
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