市場調査会社のYole Groupは、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。2023年のDRAM/NANDの売上高は供給過剰で価格が下落し2016年以来の低水準となったが、2024年にはデータセンター/民生機器などの需要増と各社の戦略的減産によって需給バランスが正常化し、市場が回復に向かう見込みだという。
フランスの市場調査会社であるYole Group(以下、Yole)は2024年3月、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。それによると、2023年のDRAM/NANDの売上高はどちらも低水準となったものの、2024年からは回復基調にあるという。生成AI(人工知能)需要の高まりによるデータセンター向け市場の成長や、生成AI搭載PC/スマートフォンの登場を追い風とした買い替え需要などが背景だ。
Yoleによると、2023年のDRAMの年間売上高は520億米ドルで、2016年以来の低水準だった。供給過剰による大幅な価格下落によるものだ。ただし、DRAM市場は生成AI需要の高まりを受け、HBM(広帯域幅メモリ)/データセンターを中心に回復傾向にあり、2023年第4四半期の売上高は事前の予想を12億米ドル上回ったという。同四半期は価格上昇および出荷量増加がともに想定を上回って推移。出荷量は予想を6%上回り、前年同期比では42%増加した。
各メーカーのDRAM事業の営業損失も2023年第4四半期に顕著に改善し、業界内の平均営業損失率は1%にまで回復したという。中でもSamsung Electronics(以下、Samsung)とSK hynixはどちらも黒字に転じた。特にSamsungは、2023年第4四半期の売上高シェアが45%に達し、31%で続くSK hynix、19%のMicron Technologyを引き離した。
Yoleは、2024年のDRAM市場について「見通しは明るい」としている。工場稼働率の低下でメーカーの在庫が正常化して需給のバランスが整ったためだという。
データセンター向けのAIアクセラレーターの需要は引き続き伸長していて、NVIDIAの業績は2023年第4四半期も記録的な成長を見せた。このことがHBM(広帯域幅メモリ)の需要増もけん引し、YoleによるとHBMの平均販売価格はDRAM全体平均の約6倍となっているという。
データセンターとサーバは最もDRAMの需要が大きい市場だといい、2023年のDRAM出荷ビット数のうち約50%を占めた。データセンター向け需要は、HBMやCXL(Compute Express Link)といった新技術の定着に伴ってさらに成長していくとみられる。
さらに、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック時に購入されたPCの買い替え需要や、生成AI対応の新型スマートフォン需要にも後押しされ、民生機器向けでもDRAM需要は高まってきているという。
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