onsemiが、高精度の電気化学センシングを低消費電力で実現する、小型アナログフロントエンド(AFE)「CEM102」を開発し、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日)で初公開した。
onsemiは2024年4月11日(米国時間)、高精度の電気化学センシングを低消費電力で実現する小型アナログフロントエンド(AFE)「CEM102」を発表し、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日)で初公開した。
糖尿病の管理において重要な持続血糖モニター(CGM)といった医療用ウェアラブル機器の他、気質およびガスの検知、食品検査や農業モニタリングなどの産業、環境、ヘルスケアアプリケーションにも利用可能で、幅広い用途に向けたAFEとしては同社初の製品だという。
CEM102は、CGMなど、微小な電流の検出が必要な電流測定を用いるアプリケーション向けAFEとしてonsemiが開発した製品だ。2チャンネルのAFEで、1〜4の電極をサポート。さまざまな電気化学センサーに対応する。電源電圧範囲は1.3V〜3.6Vと幅広く、システムは1.5V酸化銀電池または3Vコイン電池1個で動作可能だ。また、チップは1.884mm×1.848mmと小型で、搭載アプリケーションのさらなる小型化、バッテリー寿命の延長が可能になるとしている。
なお、CEM102はonsemiが「業界で最も低い消費電力を実現した」とするBluetooth Low Energy(BLE)5.2対応無線通信MCU「RSL15」と組み合わせて使用するよう設計されているという(RSL15の詳細は下記リンク参照)
CEM102とRSL15を組み合わせたソリューションは、消費電流がディセーブルモードで50nA、センサーバイアスモードで2μA、18ビットA-Dコンバーターが連続変換しているアクティブ測定モードでも3.5μAに抑えている。同社によればこれは3mAhの電池1個だけで、業界で主流となっている医療用ウェアラブル機器のパッチ交換周期である「14日間」の動作が実現可能な数値といい、これより大型の電池を用いれば数年間の動作も可能という。同社説明担当者は、「小型かつ低消費電力で、ナノアンペアレンジの小さな電流の変化を測定できる。医療用ウェアラブル機器に最適だ。さらに、他のさまざまなセンサーにも対応可能であり、アンペロメトリックセンサー技術の最先端ソリューションといえる」と強調していた。
会場では、CEM102とRSL15を組み合わせたソリューションのデモを展示していた。デモはCEM102とRSL15を搭載した1つのボードに、LDR(Light Dependent Resistor:光依存性抵抗)と、ポテンショメーターをそれぞれ接続。Bluetoothで接続されたモニターのアプリケーション上で、計測値の変動をリアルタイムで表示するというもの。LDRに当たる光を遮ったり、ポテンショメーターのつまみを回したりすると、それぞれ抵抗値の変化による電流の変化がグラフに反映されていた。
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