onsemiはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2023」(2023年3月14〜16日)に出展。Bluetooth Low Energy 5.2対応無線通信MCU「RSL15」を用いた、超低消費電力の資産追跡/位置特定ソリューションのデモなどを展示していた。
onsemiはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2023」(2023年3月14〜16日)に出展し、Bluetooth Low Energy(BLE)5.2対応無線通信MCU「RSL15」を用いた超低消費電力の資産追跡/位置特定ソリューションのデモや、車載グレードの新製品、パートナーが開発中の新製品を展示していた。
RSL15は、onsemiが「業界で最も低い消費電力を実現した」とするBLE5.2対応無線通信MCUで、資産追跡やスマートリテール、IoT(モノのインターネット)エッジノードなど向けの製品だ。同製品は、業界団体「EEMBC:Embedded Microprocessor Benchmark Consortium」による、マイコンの動作時のエネルギー効率を検証する「ULPMark-CoreMark」において、クラスをリードするパフォーマンススコア60.5を獲得。また、マイコンのディープスリープ効率を計算する「ULPMark- CoreProfile」においても、1位である同社の従来品「RSL10」(スコア:1090)に次ぐ1070を獲得している。
受信時の最大消費電流(3V VBAT、1Mビット/秒時)は2.7mA、送信時の最大消費電流(3V VBAT、0dBm出力時)は4.3mA。スリープモード(GPIOウェイクアップ、3V VBAT)での消費電流は36nAにまで抑えている。また、プロセッサをディープスリープモードに保ち消費電力を抑えつつも、センサーインタフェースを監視できるスマートセンスモードも搭載。同モードでの連続A-Dコンバーター動作時(ADC閾値でのウェイクアップ、3V VBAT)の消費電流は186nAとなっている。説明担当者は、「われわれのデバイスは、通常のオペレーションでは、10年以上の寿命を実現できるだろう」とその低消費電力性能を強調していた。
RSL15は、最大動作周波数48MHzの「Arm Cortex-M33」べースのMCUで、最大512Kバイトのフラッシュメモリや80KバイトのSRAM、BLE 5.2対応のRFフロントエンドなどを集積している。低消費電力性能に加えて特長とするのが、その高いセキュリティレベルだ。搭載するArmの「TrustZone」技術によってデバイスの信頼性を、「CryptoCell-312」技術によって、コードとデータの安全性を強化。RSL15はArmが策定するセキュリティ認証「PSA(Platform Security Architecture) Certified」のレベル1認証を受けている。
BLE5.2対応のRSL15は、長距離通信機能や受信角度(AoA:Angle of Arrival)および放射角度(AoD:Angle of Departure)方式の方向検知機能などを実現。また、長距離高速(2Mビット/秒)PHYを搭載し、最大10台までの同時接続も可能となっている。今回、同社はブースにおいて、この方向検知機能を用いた資産追跡/位置特定のデモを行っていた。
また、onsemiは、村田製作所が開発中のRSL15搭載BLEモジュール「Type 2EG」を会場で展示していた。同製品は産業用のIoTエッジデバイスなど向けとして、近く発売予定だという。
また、同社はembedded world 2023において、車載用電子部品の信頼性規格「AEC-Q100」に準拠した車載グレード品「NCV-RSL15」を新たに発表した。これは車両監視やタイヤ監視システムなどに向けたもので、説明担当者は、「例えば1年でタイヤ内の監視システムの寿命が切れるからタイヤを交換する、といったことは許されない。10年以上の寿命も達成できるという特長は大きな利点となる。これが車載グレードを用意した理由だ」と語っていた。
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