ソニーによると、これまでの広角カメラのイメージセンサー大判化に加え、超広角や望遠カメラのイメージセンサー大判化および、高画質/高性能化がスマホメーカー各社で進行しているといい、早川氏は「これが今後数年間のモバイルセンサー市場の成長ドライバーに加わると見ている」と期待を見せた。
イメージセンサー開発においては、大判化や高付加価値化に対応した画素の高性能化や特性改善に加え、高性能ながら製造工程数や生産性に配慮したセンサーの開発および、設計による生産歩留まりの向上にも注力。「今後の投資効率やコスト改善への貢献が期待される」と述べた。
なお、この日開催された決算説明会では、米国によるHUAWEI向け半導体の輸出規制および、中国の半導体国産化推進による中国メーカー(Will Semiconductorなど)の成長がある中での、中国市場におけるソニーのシェアに関する状況についても質問が出た。同社社長の十時裕樹氏は、「『特定の中国顧客』に対してはライセンスがなければ販売できないことなど、技術で自由に勝負できるような市場ではないという部分があり、なかなか競合の割り込み自体も分析が難しい。今のわれわれのやり方としては、自由に勝負できる市場でできるだけシェアを拡大していきたいと思っている」と回答していた。
2023年度通期のグループ全体の連結業績をみると、売上高はI&SS分野のほか、金融分野、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、音楽分野でも大幅増収となったことから、前年度比19%増の13兆208億円と過去最高を更新した。一方で、営業利益はG&NS分野および音楽分野で増益だったものの、金融分野の大幅減益およびI&SS分野の減益の影響から同7%減の1兆2088億円となった。純利益は同3%減の9706億円、調整後EBITDAは同1%増の1兆8180億円だった。
なお、ソニーは2025年10月に金融事業のパーシャルスピンオフを予定している。このため、決算発表では金融分野を除く連結ベースの業績も記載している。
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