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Intelの現状から学ぶべきこと大山聡の業界スコープ(79)(1/3 ページ)

2024年8月1日、Intelの2024年第2四半期(4〜6月)決算が発表された。このところのIntelの決算からは、かつて半導体業界の王者として君臨していたころの勢いが感じられない。そこでIntelの現状を分析しながら、いろいろなことを学び取っていく。

» 2024年08月19日 11時30分 公開
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 2024年8月1日、Intelの2024年第2四半期(4〜6月)決算が発表された。発表内容はほぼガイダンス通りだった。ただ、2024年第1四半期(1〜3月)より営業赤字および、当期赤字が拡大していたこと、第3四半期の見通しがよろしくないことなどがネガティブに評価され、Intelの株価は大きく下落した。データセンター向けにAIサーバの需要が伸びている昨今において、Intelのデータセンター向け売上高は伸び悩むどころか下落基調にある。ファウンドリー(半導体受託製造)事業の売り上げも下落基調で、かつて半導体業界の王者として君臨していたころの勢いが感じられない。ここではIntelの現状を分析しながら、いろいろなことを学び取っていきたいと思う。

4〜6月期は20億米ドル近い営業赤字

 図1は、Intelの四半期決算の推移をグラフ化したものである。2023年第4四半期(10〜12月)は営業利益が黒字になっているが、それ以外の四半期は全て赤字に沈んでいる。特に2024年第2四半期(4〜6月)は、20億米ドル近い営業赤字になっている。

図1:Intelの四半期決算の推移[クリックで拡大] 出典:Intel決算資料よりGrossberg作成

 もともとIntelは、四半期の売上高が200億米ドル前後に達していたが、昨今では150億米ドルをなかなか超えることができず、赤字計上に陥っているように見える。ではIntelの売上構成はどのようになっているのだろうか。

PC売り上げは堅調なのだが

 図2は、Intelの売上構成をグラフ化したものである。Intelは2024年第1四半期(1〜3月)から情報開示方法を変更しているため、やや見づらい部分もあるが、要点は以下のように整理できる。

図2:Intelの四半期別売上構成[クリックで拡大] 出典:Intel決算資料よりGrossberg作成

 「Desktop」と「Notebook」はいわゆるPC向けの売り上げで、こちらは特に減少することもなく堅調に推移している。一時期はAMDにシェアを奪われているのではないか、ということもあったが、現状ではシェアを維持しているもようである。ただしPC市場があまり盛り上がっていないため、Intelの売り上げも「伸びている」とは言い難い。「DataCenter and AI」はデータセンター向けで、この売り上げが減少傾向にあるのは気になる。かつては四半期で60億米ドル以上の売上高を計上していたが、今ではその半分しかない。今最も注目を集めているNVIDIAは、この分野での売上を急増させており、Intelとは対照的である。もう1つの競合であるAMDもこの分野での売り上げを伸ばしており、厳しい言い方をすれば「Intelの一人負け」状態に陥っている。「Intel Foundry Services」はIntelのファウンドリー事業で、2024年第1四半期から開示されるようになったため、これまでの推移は確認できないが、実はこの事業に大きな問題があるのだ。

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