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Intelの現状から学ぶべきこと大山聡の業界スコープ(79)(2/3 ページ)

» 2024年08月19日 11時30分 公開

大きな問題を抱えるファウンドリー事業

 図3は、Intelの営業利益の構成をグラフ化したものである。「Client Computing」はPC向けで、Intelの営業利益の中心になっていることが分かる。「DataCenter and AI」は黒字を計上しているものの、その貢献度は低い。売上高が減少傾向にあるため、収益面でも課題を抱えているのが現状だろう。しかし最大の問題は「Intel Foundry Services」の大赤字である。2024年第1四半期から開示されるようになったわけだが、その赤字幅の大きさに業界としては驚きを禁じ得なかった。この赤字を何とかしないと、Intelの収益改善はおぼつかないだろう。

図3:Intelの四半期別営業利益構成[クリックで拡大] 出典:Intel決算資料よりGrossberg作成

 Intelは、2024年第3四半期(7〜9月)の売上高を130億米ドル前後と見込んでいるが、これは第1、第2四半期とほぼ同レベルということで、赤字決算となるのは必須である。今回の決算で、Intelはさまざまなリストラ計画を発表している。だが、現行のビジネスモデルを大きく変えるつもりはなく、プロセッサ事業も頑張る、ファウンドリー事業も頑張ると、あくまでも「IDM2.0」へのこだわりを強調している。恐らく、2024年度通期で見ても赤字からの脱却は困難だろう。ここからは、Intelの抱えている課題について考察してみたい。

データセンター向けでの「Intelの一人負け」

 まずPC向けの戦略については、特に大きな問題は見られない。内部では何らかの課題があるかもしれないが、シェアを落とすこともなく、安定した収益を稼いでいる。今後市場として伸びることはあまり期待できないが、消滅する心配もないので、この分野については現状のままで問題ないだろう。

 データセンター向けは、すでに述べた通り「Intelの一人負け」状態なので、改善が必要だろう。市場ではAIサーバ向けにGPUの需要が伸びており、ここは「NVIDIAの一人勝ち」状態だが、x86プロセッサを搭載した通常のサーバ需要も堅調に伸びている。この分野でIntelは高いシェアを誇っているが、昨今では戦略プロセッサのリリースが遅れるなど、Intel自身が内部に問題を抱えており、競合のAMDにシェアを奪われているのが現状である。開発リソースが不足しているのか、組織構造的な問題なのか、内情は分からないが、Intel自身は自社の問題を正確に把握しているはずである。今後の動向を見守るしかない。

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