9カ月累積業績は、2023年度のダウンターンからの需要回復による物量増加および、需給バランス改善による価格上昇などを背景に大幅な増収増益となった。2024年度第3四半期(10〜12月)で見ると、前四半期に引き続き従来サーバの堅調な需要に加え、AIサーバ向け需要が伸張した一方で、PCおよびスマホ顧客の在庫調整によって売り上げが減少。ギガバイト(GB)容量ベース出荷量および販売単価は1桁台前半の下落となったという。
第3四半期の販売実績をアプリケーション別にみると、スマホやタブレット向けである「スマートデバイス」は季節要因や顧客の在庫調整の影響でスマホ向け需要が弱含み、前四半期比23%減の1171億円となった。
一方でPCやサーバ向けのSSDおよびメモリ製品で構成する「SSD&ストレージ」は同2%増の2787億円に成長した。上述の通り、AIサーバの強い需要および従来サーバの買い替え需要がこの成長をけん引。前年同期比では約2倍の大幅な成長を遂げている。特にデータセンター/エンタープライズ用SSDの売り上げは、大手ハイパースケーラー向け販売が拡大したことで同3倍程度まで増加。「SSD&ストレージ」全体の6割程度を占める規模になっているという。
なお「その他」にはSDメモリカードなどのB2C製品および製造合弁会社3社経由で計上されるWestern Digitalグループ向け売り上げ等が含まれる。
第3四半期における補助金等を除いた設備投資実績は578億円で、対売り上げ比率は13%だった。主にBiCS FLASH第8世代向けの設備投資だが、同社は「2023年度のダウンターンで大きく削減した水準を維持している。今後も引き続きBiCS FLASH第8世代への設備投資をメインに計画しているが、足元の需要を伸張に精査し規律を守って判断していく」と説明している。
なお、BiCS FLASH第8世代は現在四日市工場で生産しているが、2025年秋に稼働開始予定の北上工場第2製造棟でも生産を行う予定だという。
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