エレクトロニクス企業や投資家にアドバイスを行うInternational Business StrategiesのCEOであるHandel Jones氏によると、TSMCは2030年までに台湾で2nm以下のウエハーを月間30万枚以上生産する計画だという。Jones氏は「TSMCの新たな投資によって米国での2nm生産能力は月産8万枚に達する可能性があり、これは台湾で予測されるTSMCの生産能力の約4分の1に相当する」と説明する。
Jones氏は「TSMCは米国に1000億米ドルを投資する一方で、台湾には3000億米ドル以上を投資するとみられる。先進技術は米国よりも先に台湾に投入されるだろう」と語った。
Triolo氏は「TSMCは、米国内の半導体産業の急速な強化に伴う米国での労働者不足など、構造的な問題に継続して直面すると予想される」と述べている。
「問題は、TSMCによる投資が複数年にわたるものだということだ。税額控除や人材開発、その他の助成金や優遇措置の形で、TSMCは米国や地方政府による持続的な支援を必要とする。これらが必要になる年数は現政権の任期よりも長い。TSMCは、米国の外交政策当局が台湾を巡る中国との潜在的な対立について強い懸念を抱いていることを理解していて、それゆえに米国政府はTSMCに長期的にコミットすると期待している」(Triolo氏)
Triolo氏は「Intelはオハイオ州の工場を2030年まで稼働しないと発表した。このことは『2030年までに世界の先端ノードの20%を米国内で生産する』というCHIPS法の目標が達成不可能であることを意味する」と述べている。
同氏によると、IntelとSamsungが投資を拡大しなければ、米国における先進的な半導体生産のための大規模クラスタはアリゾナ州のみになる。ただし、アリゾナ州のクラスタでさえも、米中対立によるリスク軽減にはあまり役立たないという。
Jones氏は「TSMC、Intel、Samsungが米国への投資を拡大すれば、米国は先進の2nmノードで製造されるチップの世界市場の35%を獲得できる可能性がある。それは良い進歩だ」と述べる。
Koch氏は「トランプ大統領の『関税脅し』とTSMCへの投資は、世界の先進的チップの40%を米国で生産することを目指したものだ」と指摘する。
「この新たな投資は目標達成に大きく貢献するだろうが、台湾政府が最先端のロジックノードの海外移転を禁止しているという問題は解決していない。そのため、米国の製造能力は常に少なくとも1ノード遅れており、台湾からの供給が途絶えるとギャップが生じることになる」(Koch氏)
【翻訳:田中留美/滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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