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「2030年までに50社」 サウジアラビアが半導体企業誘致に意欲米国企業が注目(1/3 ページ)

サウジアラビアは、2030年までに50社の半導体メーカーを誘致することを目標として、人材確保の支援や運用資金の提供を行っている。

» 2025年03月05日 13時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 サウジアラビアのNational Semiconductor Hub(NSH)は、リヤドで2025年2月に開催されたカンファレンス「LEAP2025」において、ここ6カ月間の半導体産業振興策の成果を明らかにした。その中には、同国内に設立予定の海外半導体ファブレスメーカーに関する発表や、UltraSenseが設立する設計/製造工場、Riyadh Silicon Manufacturingの設立などが含まれている。

 NSHのCEOであるNaveed Sherwani氏はカンファレンスに登壇し「われわれの目標は、2030年までの5年間で、50社の半導体メーカーをサウジアラビアに誘致することだ。2025年7月までには、サウジアラビアから最初の半導体チップをテープアウトしたいと考えている」と述べた。

National Semiconductor Hub CEOであるNaveed Sherwani氏 National Semiconductor Hub CEOであるNaveed Sherwani氏[クリックで拡大] 出所:LEAP

 NSHの戦略には、このようなメーカーのサウジアラビアへの移転や、人材のトレーニング/雇用を支援することに加えて、テープアウトのための運用/運転資金として約200万米ドルのインセンティブを提供すること、公金やプライベートベンチャーキャピタルによる資金調達の支援、顧客開拓のサポートなどが含まれる。

 Sherwani氏は以前、米国EE Timesの取材の中で「これはサウジアラビアにとって大胆な計画だ」と話していた。Sherwani氏とEE Timesはこの時、ベトナムやインドのような他の半導体新興国の半導体戦略について考察し、サウジアラビアの半導体ハブ戦略がそれらとどのように異なるのかを議論した。同氏は「これは他の国々にとっても優れた青写真となり、半導体の民主化にも役立つだろう」と述べていた。

NSHの目標 NSHの目標[クリックで拡大] 出所:NSH

 それで、現状はどうなったのだろうか。今回のLEAPでの講演から、同氏がここ6カ月間の進捗に関して、特に米国からの関心の高さについて興奮を抑えられない様子がよく分かった。プログラムは当初から大きな関心を集め、第一募集には64社から応募があった。初年度の受け入れ目標は5社だったが、16社を受け入れることにしたという。

 Sherwani氏は、シリコンバレーを複製することは不可能だと認めながらも、強力な設計サプライチェーン/エコシステムの構築について海外から関心を集める方法としては、今のところうまくいっていると感じているようだ。

 この計画の重要な部分となるのが、サウジアラビア国内だけでなく、エジプトやパキスタンといった分散拠点の人材も訓練して企業の人材確保をサポートし、資金を調達することだ。資金調達には、半導体スタートアップを支援するための32億米ドルの基金設立が含まれる。このうちの8億米ドルは公的資金で、24億米ドルはプライベートエクイティから調達するという。

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