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ASMLの25年Q1は増収増益、EUV好調も関税に強い懸念予測を上回る(2/2 ページ)

» 2025年04月23日 11時30分 公開
[EE Times]
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関税に強い懸念

 ASMLは今後の見通しとして、2025年第2四半期の純売上高が72億〜77億ユーロ、粗利益は50〜53%に達すると予測している。粗利益率の変動幅が大きいのは「関税とそれがどのように適用されるかが不透明であること」が原因である。

 2025年については、売上高が300億〜350億ユーロ、粗利益率が51〜53%になるというガイダンスをあらためて示した。Fouquet氏は中期的な見通しについて楽観的な見方を示し、顧客との会話から「2025年と2026年はいずれも成長の年になることがうかがえる」と述べている。

2025年の業績見通し[クリックで拡大] 出所:ASML 2025年の業績見通し[クリックで拡大] 出所:ASML

 また、2024年11月のキャピタルマーケットデー(Capital Markets Day)で掲げた「2030年までに収益を440億〜600億ユーロ、粗利益率を56〜60%にする」という長期目標を再度表明した。

 こうした前向きな見通しにもかかわらず、経営陣は地政学的な動向、特に関税の導入に対する懸念の高まりを指摘している。Fouquet氏は「特にGDPに関しては、この動きが新たな不確実性を生み出し、マクロレベルでも間接的にも、もちろん潜在的な市場需要にも影響している。この動向は非常に注意深く見守る必要があると考えている」と述べている。

 CFOのDassen氏は、関税が何に対して直接的な影響を及ぼす可能性があるかについて述べている。具体的には、米国へのシステム全体の出荷、米国での現地作業用の部品やツール、製造のための米国への輸入、米国からの出荷に他国が課す関税などである。

 ASMLは、こうした影響を最小限に抑えるためにエコシステムと積極的に協力しているが、Dassen氏は、世界のGDPと市場の需要に対する間接的な影響に対しても慎重な姿勢を示している。同氏は「これについて議論するのは時期尚早で、従って、具体的な数字を出すことは不可能だ」と指摘した。

 ASMLは、技術面では低NAおよび高NAのEUVプラットフォームで進歩を続けている。

 Fouquet氏は、現地で運用されている最初のLow NAシステムを最終仕様(毎時220ウエハーを処理)にアップグレードしたことを強調し、これが2025年第1四半期の利益率にプラスに影響していると述べた。同氏は近い将来、NXE:3800が低NA装置の主力製品になると予想している。

 高NA装置に関しては、「SPIE Photonics West」で顧客から好意的なフィードバックを得たという。Intelは3万枚以上のウエハーの露光を報告し、プロセスを大幅に簡素化できる可能性を指摘した。Samsung Electronicsも、高NA装置によってサイクルタイムを60%短縮できる可能性を示唆した。

 ASMLは高NA装置「EXE:5000」を全て出荷していて、3社の顧客が導入済みまたは導入中だという。これにより、近い将来、さらなる知見が得られることが期待される。

業績の推移[クリックで拡大] 出所:ASML 業績の推移[クリックで拡大] 出所:ASML

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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