常温で半年保管できる パワー半導体用銀ペースト接合材:運送や保管のコストを削減
ノリタケはLG化学と共同で、自動車向けパワー半導体用接合材を開発した。開発したのは半導体素子と銅板を接合する「銀ペースト」で、長期の常温保管が可能である。
ノリタケは2025年6月、LG化学と共同で自動車向けパワー半導体用接合材を開発したと発表した。開発したのは半導体素子と銅板を接合する「銀ペースト」で、長期の常温保管が可能である。
パワー半導体モジュールは、高電圧で大電流に対応できるため、電気自動車(EV)などでの採用が拡大している。半導体モジュールはこれまで、半導体素子と銅板をはんだペーストで接合するのが一般的であった。しかし、耐熱温度が約215℃のはんだペーストでは耐熱性に課題があった。
こうした中で耐熱性の高い「銀ペースト」が注目されている。ただ、接合する部品の劣化を防ぐには、接合温度を下げる必要があるという。これを可能にするため銀のナノ粒子を材料として用いる。ところが、安定した品質を保つには−10℃以下の冷凍保存が必要で、一般的な使用期限も約3カ月と短かった。
今回は、ノリタケの粒子分散技術とLG化学の粒子設計技術を持ち寄り、最適な組成を設計してペースト化した。この結果、25℃以下の常温保管で使用期限を約6カ月と2倍に延ばすことが可能となった。これらの特長から、運送や保管のコストを抑え、期限切れによる廃棄処分のリスクも低減できるという。

パワー半導体モジュールの構造イメージおよび、開発した銀ペーストの外観[クリックで拡大] 出所:ノリタケ
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