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TSMCのGaN撤退は「ものすごく大きな痛手」、ローム社長VIS委託など「さまざまな可能性を検討」

ローム社長の東克己氏は2025年11月6日、TSMCのGaNファウンドリー事業撤退の決定について「われわれにとって非常に痛い、大きな痛手だ」と言及。生産移管先についてはTSMC傘下のVanguard International Semiconductorと協議していることに触れつつ、現在も社内/協業を含めたさまざまな可能性を検討している段階だと説明した。

» 2025年11月06日 18時45分 公開
[永山準EE Times Japan]

 ローム社長の東克己氏は2025年11月6日に開催した2025年度上半期(2025年4〜9月)決算説明会において、TSMCの窒化ガリウム(GaN)ファウンドリー事業撤退の決定について「われわれにとって非常に痛い、大きな痛手だ」と言及。生産移管先についてはTSMC傘下で8インチプロセスも提供するVanguard International Semiconductor(以下、VIS)と協議していることに触れつつ、現在も社内/協業を含めたさまざまな可能性を検討している段階だと説明した。

TSMCは2027年7月までに撤退、各社の対応

 TSMCは、2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退すると決定した。同社はこの決定について「この決定は市場ダイナミクスに基づくもので、当社の長期事業戦略に沿ったものだ」と説明。業界観測筋は、この要因として中国のGaNファブからの価格圧力が高まっていことなどを挙げている(EDN Japan「TSMCのGaN撤退が示唆すること」

 この決定を受け、同社に製造を委託するNavitas Semiconductor(以下、Navitas)は2025年7月1日(米国時間)、PSMCとの戦略的提携を発表。2025年第4四半期に初期デバイスの認定を行い、100V品はまず2026年上半期に生産を開始。650V品も今後12〜24カ月かけTSMCからPSMCに移行する予定だとしている。

 またInfineon Technologiesも2023年に買収したGaN SystemsがTSMCに製造を委託していたが、2025年10月、EE Times Japanの取材に対し「現状では、今後は自社製造能力と自社技術による製品投入に移行することになる」などと説明している。

 同社と協業し、650V耐圧品の前工程を委託しているロームはこの決定に対し2025年7月、「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく。その一環として、将来的な(2027年以降の)開発/生産体制については、さまざまな可能性を協議、検討していく予定だ」とコメントしていた。

 今回、ローム社長の東氏は、EE Times Japanの質問に答える形でTSMCの撤退決定について「当然、当社の技術者が現地に行き、TSMCの技術と当社が今まで作ってきたノウハウを合わせ込んできたので、ものすごく大きな痛手だ」と強調。今後の方針については「1つはTSMCグループのVISが8インチで継続するので、そことは話をしている。一方、どうなるか分からないところがあるため、社内移管の検討の他、協業でやってもらえるところも探している。まだ最終的には決定しておらず、いろいろな可能性を検討している」とした。

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