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エッジAIや医療応用で存在感、Valensの独自SerDesチップ強力DSPでノイズに強い(1/2 ページ)

Valens Semiconductorは、ノイズに強く長距離伝送に対応したコSerDesチップセットなどを手掛けている。Valensの戦略や、車載向けに開発して現在医療機器にも適用されている製品について、Valens シニアバイスプレジデント兼クロスインダストリービジネスユニット責任者のGili Friedman氏に聞いた。

» 2025年09月02日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 Valens Semiconductor(以下、Valens)は、自動車や産業機器、医療機器分野でノイズに強く長距離伝送に対応したSerDesチップセットなどを手掛けている。Valensの戦略や、車載向けに開発して現在医療機器にも適用されている製品について、Valens シニアバイスプレジデント兼クロスインダストリービジネスユニット責任者のGili Friedman氏に聞いた。

Valens シニアバイスプレジデント兼クロスインダストリービジネスユニット責任者 Gili Friedman氏 Valens シニアバイスプレジデント兼クロスインダストリービジネスユニット責任者 Gili Friedman氏[クリックで拡大]

 Valensは2006年にイスラエルで設立されたファブレス半導体企業だ。これまでに120件以上の特許を取得し、4000万個以上の製品を出荷したという。

 Valensのソリューションの特徴は、大容量のデータを長距離伝送できる点だ。オーディオ機器をはじめとする民生機器のほか、自動車や産業機器にも利用されていて、2024年9月には欧州の主要自動車メーカー3社にValens製品が採用されたと発表した。

 技術標準化にも携わっている。1本のLANケーブルで映像や音声、電源、制御信号などを伝送できる接続規格である「HDBaseT」技術を開発してアライアンスを発足したほか、車載アプリケーション向けの高速コネクティビティ規格である「MIPI A-PHY」のベースラインにもValensの技術が採用されている。

Valensが技術標準化に携わった例 Valensが技術標準化に携わった例[クリックで拡大] 出所:Valens Semiconductor

エッジAIへの「情報提供」を担う

 拡大するエッジAI市場での展開にも意欲的だ。Friedman氏は「製造ラインの欠陥検査などにエッジAIが使われるようになってきているが、AIが実力を最大限に発揮するには、カメラからの情報を低遅延かつ高解像度で伝送することが前提になる」と説明する。複数台のカメラから画像を取得して同時に用いる場合ではなおさらだという。

 エッジAI用途ではリアルタイム性が重視されるので、ノイズ対策が特に重要だ。Valens製品は独自のエラー訂正機能を備えたDSPを搭載し、ノイズを低減している。Friedman氏は「AIへの『情報提供』には、ValensのDSPが鍵になる」と語った。

 音声や映像、電力、制御信号などを1本のケーブルで伝送できることも特徴だ。1本のケーブルで複数の要素を伝送すると一般的にはノイズが大きくなってしまうが、上記のDSPや低電圧/低消費電力で伝送する設計によって対応している。これによってケーブル本数を削減でき、デバイスの小型/軽量化にも貢献する。

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