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鉄系全固体電池で「世界最高レベル」のエネルギー密度を実現、名古屋工大レドックス準位を意図的に調整

名古屋工業大学の研究グループは、鉄系材料を用いた全固体電池で、330Wh/kgという世界最高レベルのエネルギー密度を実現した。

» 2025年09月25日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

塩素脱離を抑えながら、容量を増やすための設計指針を確立

 名古屋工業大学生命・応用化学類の谷端直人助教らによる研究グループは2025年9月、鉄系材料を用いた全固体電池で、330Wh/kgという世界最高レベルのエネルギー密度を実現したと発表した。

 研究グループは、全固体電池の高電圧化に向けて「塩化物電極」に注目した。ただ、過充電により塩素ガスが発生し、性能が劣化するという課題もあった。そこで、3d遷移金属塩化物の電子状態を整理し、作動電位と塩素脱離の関係を説明できる「レドックス準位モデル」を構築した。

 その上で、鉄塩化物(Li2FeCl4)の一部を酸素で置き換える「アニオン置換」を行い、電極の作動電位を決める要因となるレドックス準位を意図的に調整した。これによって、塩素脱離を抑えながら容量を増やすことに成功した。

Li2FeCl4および、塩素の一部を酸素に置換した新材料(Li2.2FeCl3.8O0.2)の充放電曲線[クリックで拡大] 出所:名古屋工業大学

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