鉄系全固体電池で「世界最高レベル」のエネルギー密度を実現、名古屋工大:レドックス準位を意図的に調整
名古屋工業大学の研究グループは、鉄系材料を用いた全固体電池で、330Wh/kgという世界最高レベルのエネルギー密度を実現した。
名古屋工業大学生命・応用化学類の谷端直人助教らによる研究グループは2025年9月、鉄系材料を用いた全固体電池で、330Wh/kgという世界最高レベルのエネルギー密度を実現したと発表した。
研究グループは、全固体電池の高電圧化に向けて「塩化物電極」に注目した。ただ、過充電により塩素ガスが発生し、性能が劣化するという課題もあった。そこで、3d遷移金属塩化物の電子状態を整理し、作動電位と塩素脱離の関係を説明できる「レドックス準位モデル」を構築した。
その上で、鉄塩化物(Li2FeCl4)の一部を酸素で置き換える「アニオン置換」を行い、電極の作動電位を決める要因となるレドックス準位を意図的に調整した。これによって、塩素脱離を抑えながら容量を増やすことに成功した。
Li2FeCl4および、塩素の一部を酸素に置換した新材料(Li2.2FeCl3.8O0.2)の充放電曲線[クリックで拡大] 出所:名古屋工業大学
端末のアンテナを「仮想的に」束ねて超高速通信、THz波で実証実験
パナソニック ホールディングスと国際電気、名古屋工業大学および、KDDI総合研究所は、開発した仮想化端末ハードウェア実証装置を利用して、Beyond 5G/6Gで求められる超高速伝送に成功した。また、実験では4K非圧縮リアルタイム映像の伝送を行い、鮮明な映像伝送が可能なことを確認した。
ルチル型二酸化ゲルマニウムによる初の縦型SBD開発
京都工芸繊維大学らの研究グループは、超ワイドバンドギャップ半導体の「ルチル型二酸化ゲルマニウム」を用いた「縦型ショットキーバリアダイオード(SBD)」の開発に初めて成功した。作製したSBDは、理想に近いダイオード特性と低オン抵抗であることを確認した。
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産業技術総合研究所(産総研)と東京大学、九州大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学らによる研究グループは、生体神経組織の動作を模倣できるMOSトランジスタの動作実証に成功した。従来のCMOSトランジスタに比べ100万倍以上もゆっくり動作し、消費電力は500pWと極めて小さい。
ML活用でナトリウムイオン電池材料の開発を効率化
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横浜国大、リチウムマンガン酸化物正極材料を合成
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