パナソニック ホールディングスと国際電気、名古屋工業大学および、KDDI総合研究所は、開発した仮想化端末ハードウェア実証装置を利用して、Beyond 5G/6Gで求められる超高速伝送に成功した。また、実験では4K非圧縮リアルタイム映像の伝送を行い、鮮明な映像伝送が可能なことを確認した。
パナソニック ホールディングスと国際電気、名古屋工業大学および、KDDI総合研究所は2025年5月、開発した仮想化端末ハードウェア実証装置を利用して、Beyond 5G/6Gで求められる超高速伝送に成功したと発表した。また、実験では4K非圧縮リアルタイム映像の伝送を行い、鮮明な映像伝送が可能なことを確認した。
仮想化端末のイメージは、スマートフォンなどのユーザー端末が周辺にあるデバイスとテラヘルツ帯で協調し、各デバイスに搭載されたアンテナを仮想的に束ね、1つの端末として動作させることによって、超高速通信を実現しようというもの。テラヘルツ波による超広帯域活用と電波の伝搬空間を分離することで、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
開発した実証装置は、パナソニック ホールディングスが開発した「超広帯域ベースバンド信号処理装置」、国際電気が開発した「テラヘルツ帯送受信器および、テラヘルツ・ミリ波中継デバイス装置」、名古屋工業大学が開発した「テラヘルツ帯マルチビームアンテナ」で構成。KDDI総合研究所は、仮想化端末のコンセプトを提案し、実証装置の構築や各種データの測定を担当した。
実証実験では、超広帯域ベースバンド信号処理装置で生成した4.8GHz帯域幅のOFDM変調信号2チャネルを、300GHz帯のテラヘルツ波マルチビーム伝送で、近くにある2台の中継デバイス装置に伝送する。各中継デバイス装置は、39GHz帯のミリ波信号に変換し、2台のアクセスポイント(AP)装置に伝送。AP装置はMIMO受信処理を行って受信データを集約する。
今回の実験では、2台の中継デバイスを用いAPまで5mの電波暗室環境で、QPSK信号により38.4Gビット/秒という物理的な伝送速度を達成した。信号減衰量を調整しAPまでの伝搬距離が約200mに相当する環境でも、38Gビット/秒という物理的な伝送速度が実現できることを確認した。
また、誤り訂正符号化(LDPC符号化)を適用し通信信頼性を高めることで、アプリ通信速度14.8Gビット/秒のIP通信を実現。4K非圧縮リアルタイム映像の伝送実験に成功した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.