TDKは2025年9月、低抵抗タイプ樹脂電極の積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CNシリーズ」のC0G特性品を発表した。3225サイズで1000Vの定格電圧と最大22nFの静電容量を有し、BEVの非接触給電などでの使用を想定する。
TDKは2025年9月、低抵抗タイプ樹脂電極の積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CNシリーズ」の新ラインアップとして、高耐圧なC0G特性品の開発を発表した。車載グレードの「CNA」、一般グレードの「CNC」を用意していて、同月から量産を開始している。
MLCCの端子部に導電性樹脂層を加えた樹脂電極品は、部品曲げ応力に対する耐性を持ち高い信頼性を有する一方、通常電極品と比較して抵抗が増加する課題があった。そこでTDKは、基板実装面側のみに樹脂層を塗布することで、基板曲げ応力に対する耐性を持ちつつ端子抵抗を通常品と同等に抑える独自技術を開発。2018年から同技術を用いたCNシリーズを販売している。
これまでTDKが展開してきたCNシリーズは、静電容量が大きいが、温度変化や直流電圧印可によって容量が変化しやすいX7R、X7S特性品だった。今回のC0G特性品は、静電容量が小さい代わりに、温度変化や直流電圧印可による容量変動が小さく、かつ定格電圧1000Vの高耐圧を実現した。
静電容量は10/12/15/18/22nFの5タイプを展開。TDKのC0G特性、通常樹脂電極の従来品(静電容量:8.2nF)と比較すると最大で3倍相当の静電容量で、「3225サイズ(3.2mm×2.5mm×2.5mm)のC0G特性1000V品では業界最高水準の静電容量」(TDK担当者)だとしている。
TDKは使用用途の一例として、バッテリー式電気自動車(BEV)の非接触給電を挙げる。非接触給電に使われる共振回路は送電側、受電側のLC共振周波数を合わせる必要があり、そのためにはコンデンサーの静電容量が変動しないことが求められる。
一方、BEVの航続距離増加を目的にしたバッテリー大容量化に伴い、充電時間を短縮するため、コンデンサーには高耐圧化と静電容量の増加が求められる。TDK担当者は「新製品はこれらの要求に応えることが可能で、部品数削減や小型化に貢献できる」と述べた。
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