AthosのチームはMercedesからスピンアウトした後、安全性を保証するために最低3つのチップレットで動作する「投票メカニズム」を考案した。3つのチップレットが動作するため、単一障害点が存在しない。各チップレットは他の2つを監視し、メモリオーバーフローのようなソフトウェアの問題や、放射線によるビット反転(航空宇宙アプリケーションでは危機的な事態を招く)などのハードウェアの問題を検出する。
チップレットのスケーラビリティ利点は、今後も適用される。完全なSoCチップレットを使用すると、チップレットを追加することでPolarisのコンピューティング性能パラメータ全体が向上する。新しいシリコンの開発には数年かかるのに対し、これは数カ月で実現可能だ(投票システムは奇数個の演算チップレットを搭載するため、投票が同点で終わることはない。Polarisの次世代バージョンでは7個使用する予定だという)
Piednoel氏は「将来の自動運転レベル4のロボタクシーは、何か問題が発生した場合に(乗客が引き継ぐことができないため)乗車を停止しなくて済むように、“バックアップのバックアップ”が必要になる」と述べている。
「バックアップのバックアップは非常に簡単に実現できる。問題はコスト面だけだ。つまり、中断のないレベル4の自動運転が可能になる。これをメインボード上の複数チップで実現しようとすれば、最低でも4〜6個のチップが必要なボードになるだろう」(Piednoel氏)
「これはチップレットによって実現可能であり、より低いコストでより高い性能の実現を目指す方法の一環である」と同氏は述べている。
機能安全アプリケーション向けのソフトウェアは、複雑であることで有名だ。
Piednoel氏は「Polarisにはスケジューラが搭載されており、かつては認証が困難だった最新のスレッド処理の大部分を排除することができる。スレッドを作成するたびに、そのスレッドのプログラマーが他のスレッドに問題を引き起こす可能性のあることをしていないことを確認する必要があるが、これをレベル3のスタックで実現するには、1200個のプログラムが競合するため、徹底的な検証が必要である」と述べている。
Athosは、ArmのAMBA(Advanced Microcontroller Bus Architecture)互換チップレットベースのアプローチにより、ハードウェアスケジューリングを使用してソフトウェアスタックを大幅に簡素化している。
顧客は、さまざまなタイプのシステムに対して独自の自律ソフトウェアスタックとPolarisを使用することになる。Bangar氏は「将来の Polaris SKUファミリーは、アプリケーションごとに異なるCPU/NPU性能レベルを提供するできるようになるだろう」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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