フランスの市場調査会社Yole Groupによると、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス市場は2024年から2030年まで年平均成長率(CAGR)42%で成長し約30億米ドルの市場になるという。2024年の市場シェアでは中国Innoscienceがトップだった。日本勢はトップ5には入っていない。
フランスの市場調査会社Yole Group(以下、Yole)によると、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス市場は2024年から2030年まで年平均成長率(CAGR)42%で成長し約30億米ドルの市場になるという。引き続き民生分野が普及を主導するほか、電動車(xEV)分野やAIデータセンター分野の急成長が成長を加速する見込みだ。なお2024年の市場シェアでは中国Innoscienceがトップだった。日本勢はトップ5には入っていない。
Yoleが2025年10月に最新調査結果を発表した。調査によるとGaNパワーデバイス市場は2024年の3億5500万米ドルから2030年には約30億米ドルにまで急成長するという。分野別でみると、民生向けが、2030年には約20億米ドルと最大の分野としてGaNパワーデバイスの量産/エコシステムの成熟を促進。特に最大300Wの急速充電器の他、過充電保護(OVP)および家電製品など新規機会がけん引役となるとしている。民生(およびモバイル)分野は2030年、市場全体の52%を占める見込みだ。
2030年、2番目に大きな分野になると見込まれるのが、自動車分野だ。Yoleは「xEV市場の減速に伴う短期的な遅れはあるものの、同分野は2024年から2030年までCAGR73%で成長すると予測される」と説明。2024年の2000万米ドルから2030年には約5億米ドル規模にまで成長し、市場シェアの約19%を占めると予測している。具体的なアプリケーションとしては、既に先進運転システム(ADAS)向けLiDARシステムで採用が広がっているほか、11kW未満の車載充電器(OBC)や、DC-DCコンバーター、オーディオ、プレミアムeモビリティ分野での拡大が期待されるとしている。OBCについては中国Changan Automobileが初のGaNベースOBCを発表している(Navitas Semiconductor(以下、Navitas)のGaNデバイスを採用)
3番目の規模の分野になるのは、通信/インフラ分野だ。同分野は2024年から2030年までCAGR53%で成長し、2024年の2900万米ドルから3億8000万米ドル以上にまで拡大。市場全体の13%を占める規模になる見込みだ。Yoleは特に、NVIDIAが800V直流給電システムでのGaNデバイス統合に向け、主要パワー半導体メーカーと相次いで協業を発表していることに触れ、「2025年はAI開発が大幅に加速した年だ。データセンターや通信インフラ全体で高効率電源の需要が高まっている」と強調した。NVIDIAは、Texas Instruments、Navitas、Infineon Technologies(以下、Infineon)、Innoscience、ローム、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)ら各社との協業を発表。Yoleは、この協業によって、2027年頃に最初の商用展開が始まると予測している。
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