ルネサス、25年通期は減収予想 開発基盤「Renesas 365」は年内ローンチへ：第3四半期は減収増益（1/2 ページ）

ルネサス エレクトロニクスは2025年10月、2025年12月期第3四半期（7〜9月）の業績（Non-GAAPベース）を発表した。売上高は前年同期比3.2％減、営業利益は同48億円増だった。通期での売上高は前年比3.0％減、営業利益率は同1.0ポイント減と予想する。

[浅井涼，EE Times Japan]

　ルネサス エレクトロニクス（以下、ルネサス）は2025年10月30日、2025年12月期第3四半期（7〜9月）の業績（Non-GAAPベース）を発表した。売上高は前年同期比3.2％減の3342億円、売り上げ総利益率は同1.7ポイント増の57.6％だった。営業利益は同48億円増の1032億円で、営業利益率は同2.4ポイント増の30.9％だった。当期純利益は同22億円増の882億円だった。

ルネサス エレクトロニクスの2025年12月期第3四半期の業績概要［クリックで拡大］ 出所：ルネサス エレクトロニクス

「Renesas 365」年内ローンチへ　「最初はほどほどに期待してほしい」

ルネサス 社長兼CEOの柴田英利氏（オンライン決算説明会の画面キャプチャー）

　ルネサス 社長兼CEOの柴田英利氏は第3四半期の業績について「ある意味で想定通りの着地だった」と説明。「自社売り上げは当初の予想通りで、チャネル売り上げは少し上振れた。チャネル在庫が薄くなったので第4四半期にかけて拡充していく」とした。

　今後については、「チャネルからエンドの需要はおおむねフラットになると見込んでいる」と述べた。自動車向けの売り上げは一部特定顧客の在庫調整の影響を受け減少する見込みだという。28nmプロセスを採用した車載用マイコンや第4世代の車載用SoC（System on Chip）については「順調に立ち上がっているがまだ規模が小さい。中国の特定要因による調整も入った。まだ急激に伸びているわけではないが、着々と伸びていくだろう」とした。産業向けについては「第4四半期にかけて見通しが良くなった。産業向け全体ではそれなりに力強い回復を見込んでいる。引き続きAIインフラの強い需要が続くので、生産量を上げて対応する」と説明。民生向けは季節性の変動を見込むほか、全体としては上向きだとした。

　2024年8月に買収を完了したEDAベンダーのAltiumについても言及した。2025年度第1四半期時点で初期のコスト削減は終了し、サブスクリプション型製品の収益を示す指標であるARR（Annual Recurring Revenue）は前年同期比15％増とオーガニックな成長を続けているという。柴田氏は「売り上げのシナジー創出には当然時間がかかるが、大口顧客に対する拡販は少しずつ始まっている」と説明した。

Altiumの事業アップデート［クリックで拡大］ 出所：ルネサス エレクトロニクス

　電子機器の設計やライフサイクル管理を支援するソフトウェア基盤「Renesas 365」についても、2025年内のローンチに向けて準備を進めているという。Renesas 365については「かつて『Microsoft Windows』はひっそりとデビューし、コンスタントなアップデートを繰り返して『Microsoft Windows 95』で飛躍的に進化した。Renesas 365もひっそりとデビューし、同じようなプロセスを経ることを想定している。最初はほどほどの期待感で見てほしい」と語った。

通期業績は減収予想

　第4四半期と通期の業績予想も発表した。第4四半期の売上高は前年同期比16.2％増の3400億円、売上総利益率は同2.1ポイント増の57.0％、営業利益率は同1.7ポイント増の27.5％と予想する。通期での売上高は前年比3.0％減の1兆3076億円、売上総利益率は同1.0ポイント増の57.0％、営業利益率は同1.0ポイント減の28.5％と予想する。

今後の業績予想［クリックで拡大］ 出所：ルネサス エレクトロニクス