――村田製作所は「MLCCへの利益依存度の低減を目指す」としています。一方、足元ではAI需要でMLCC事業が好調になっていますが、今後はどのような戦略をとっていきますか。
中島氏 現状は「MLCCへの利益依存度を下げたい」という思いとは逆の方向に行っていて、これは課題だと認識している。もちろんMLCCの利益を減らしたいということではなく、他の事業を成長させてバランスを取っていきたい。
その鍵となるのが、2026年に量産を始める、前述のAIデータセンター向け電源モジュールだ。データセンターの電源は800Vの高電圧から降圧や変換を繰り返し、最終的に1V前後に降圧してGPUなどに届ける。村田製作所が強みを持つのはこの最後の段階だ。これまで通信モジュールで培ってきた小型/薄型化の技術も活用できるほか、GPU/TPUへ最短距離での電力供給を可能にして効率を高める「垂直給電」の回路設計技術も有している。そうした技術は他社には負けていない。
GPU/TPU周辺の部分で電源モジュールの採用が進めば、「村田製作所は電源メーカーでもある」という認知が広がり、より高い電圧の領域での採用にもつながっていく。売上高としては、2027年上期までに単一商品で500億円程度を見込んでいる。AIデータセンターは非常に期待できる市場なので、きっちり伸ばしていきたい。
――売り上げを用途別に見ると、サーバ/データセンター向けの割合が高まることになりそうですね。
中島氏 サーバやPC向けの売上高は現在全体の15%程度で、徐々に上がって35%程度になると見ている。不健全なほど高いわけではない。これに伴い、これまで50%近くあった民生機器の割合が相対的に下がって35%になり、自動車も同様に35%程度になると見ているので、バランスは悪くないと考えている。
――MLCCについては中国メーカーが低コスト化を進めていて、競争環境が厳しくなりそうですが、どのように見ていますか。
中島氏 最先端の製品の技術力はもちろん負けてはいけない部分だが、コスト面もまだまだ負けないと見ている。中国メーカーの製品を分析してみると、今のところ村田製作所のほうが安く作れている例が圧倒的に多い。村田製作所では10年ほど製造している製品も多くあり、ノウハウの蓄積で生産性も高まっている。設計段階から「どうすれば安く作れるか」という思考も十分できていて、今後もAIの活用などでコストダウンの努力は続けていくので、まだ戦える。液晶パネルやソーラーパネルの世界とはだいぶ違うだろう。
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