名古屋大学の研究グループは、透明導電体ナノシートを用い、高い透明性を実現しつつ高感度で可視光検出が可能な「オールインワンRGBフォトディテクター」を開発した。400℃という高温環境下でも安定した動作が可能なため、宇宙や車載、高放射線環境などで利用することができる。
名古屋大学未来材料・システム研究所の研究グループは2026年5月、透明導電体ナノシートを用い、高い透明性を実現しつつ高感度で可視光検出が可能な「オールインワンRGBフォトディテクター」を開発したと発表した。400℃という高温環境下でも安定した動作が可能なため、宇宙や車載、高放射線環境などでも利用することができる。
フォトディテクターは、スマートフォンカメラやIoTセンサー、光通信、医療診断などに用いられる光電子デバイス。ただ、現在主流となっている半導体材料だと、紫外線や可視光、赤外線など波長域に応じて異なる材料を使い分ける必要があった。その分、デバイス構造が複雑になったり、製造コストが増えたりしていた。
研究グループは今回、高い透明性と耐酸化性に優れた酸化亜鉛(ZnO)ナノシートに着目した。ZnOはバンドギャップが約3.4eVというワイドギャップ半導体である。これにGaドーピングを行うことで透過率を向上させた透明導電性ナノシートを開発した。
GaドープZnO(GZO)ナノシートの合成には、「イオン層エピタキシー法」を用いた。結晶の成長過程ではGa3+イオンを導入し、Gaドープ量を精密に制御した。この結果、開発した透明導電体ナノシートは、1枚当たり平均99.995%という可視光透過性を維持しながら、1.94cm2/V・sという電子移動度と、最大800A/Wという可視光応答性を達成した。
さらに研究グループは、開発した透明導電体ナノシートに対し、室温溶液プロセスを用いて異なる波長域に応答する光フィルターを垂直方向に積層した。これにより、RGBの色情報を単一画素内で識別できる「Bayer配列型フォトディテクター」を実現した。
開発したフォトディテクターを用いて、画像記録の実験を行った。ムンクの「叫び」を元画像に、フォトディテクター入力用として10×10ピクセル画像を作成した。さらに、フォトディテクターから取得したRGB信号に基づいて画像を再構成し、市販カメラで撮影した画像と比べた。この結果、開発したデバイスはカラー画像を高精度に再現できることを確認した。400℃という高温環境下でも、安定した光応答を維持し、耐熱性や耐酸化性に優れていることを実証した。
今回の研究成果は、名古屋大学未来材料・システム研究所のルベン・カントン-ビトリア事業客員研究者(大阪大学接合科学研究所助教)と、ビビッド・ミーラブ博士前期課程学生、長田実教授らによるものである。
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