――AI需要が業績の追い風になっていますが、社内でもAI活用は進めていますか。
中島氏 生産ラインでも間接業務でも導入を進めている。生産ラインでは不良品検知や原因の調査に機械学習を取り入れている。生産現場には膨大なデータがあるので、そのデータを学習させるだけでも相当なことが分かる。
間接業務ではエージェントAIを活用し、業務の30%を人間からAIに置き換えることが2026年度の目標だ。人間はディレクションや新しい価値を創造することに楽しみを持ってもらいたいし、人間同士や組織同士が関わる仕事で活躍してもらいたい。情報を調べたりまとめたりといったことはできるだけAIに任せられるよう、活用を推し進めている。
――世界的に地政学リスクが高まっている中、レジリエントなサプライチェーンの構築に向けてはどのように対応していますか。
中島氏 2020年の社長就任時、まず動いたのがサプライチェーンの複線化だ。米中対立が最悪の事態になってもきちんと事業を続けていけるように、中国を中心とした経済圏と米国を中心とした経済圏の双方でサプライチェーンを構築しようと取り組みを進めてきた。ただし、当初設定した期限は2030年だった。米国の大統領の交代などもあって、状況の変化が想定よりもだいぶ早まってしまったので、対応を急いでいるところだ。
中国からのレアアース購入については、中国側企業から中国政府に手続きを行ってもらって許可を得る必要があるが、その手続きのスピードは少し遅くなっている。ただ、購入自体が危ないという状況ではなく、顧客に迷惑をかけることはまずないだろうと思っている。一方で今後どうなるかは分からないので、他の産地のものの評価も始めるなど、対応を進めている。
――「中期方針2027」では、M&Aを含む戦略投資枠として2200億円を設けていますが、進捗状況はいかがですか。
中島氏 M&Aはこれまでいろいろと検討してきたが、現時点で具体的な話には進んでいない。利益率や企業風土なども含めて、フィットするところがまだなかった。これまでは「技術」を見ていたが、今は「事業」を既に確立している企業を優先して探している。技術シーズ単体では事業化に結び付けるのは難しく、これまでそこに相当体力を使ってきたので、放っておいても一緒にやっていけるような企業が理想的だ。
M&Aやアライアンスを抜きにしても、ポートフォリオの軸は3つか4つは持っておきたいので、村田製作所として新規の顧客やアプリケーション、ビジネスモデルにアプローチし、非連続的な成長を実現したいと考えている。
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