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» 2022年01月31日 19時45分 公開

豊富なアクセラレーターを備えた最新車載マイコンインフィニオン「AURIX TC4x」

インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は2022年1月18日、独自コア「TriCore」を搭載した車載マイコン「AURIX」の新ファミリーとなる「AURIX TC4x」を発表した。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は2022年1月18日、独自コア「TriCore」を搭載した車載マイコン「AURIX」の新ファミリーとなる「AURIX TC4x」を発表した。ADAS(先進運転支援システム)やEモビリティ、自動車の次世代E/E(電気/電子)アーキテクチャなど、自動車業界のトレンドを念頭に置いた製品だと強調する。

 AURIX TC4xでは、TriCoreの最新版となる「TriCore v1.8」を新たに採用。動作周波数は最大500MHzで、前世代のコアに比べて性能が約60%向上した。メモリ容量は最大25Mバイトである。さらに、AI(人工知能)や通信関連の処理を担うアクセラレーターとして「AURIX Accelerator Suite」を用意した。新しいTriCoreとこれらのアクセラレーターを組み合わせることで、AI処理やコネクテッド、セキュリティなど、次世代のクルマに必要とされる要件に応えていく。

 アクセラレーターの種類には、AI向けに並列処理を行う「PPU(Parallel Processing Unit)」、異なる種類のネットワーク信号の経路を切り替える(=ルーティングを行う)「DRE(Data Routing Engine)」、信号処理を行う「SPU(Signal Processing Unit)」などがある。

「TriCore」と「AURIX Accelerator Suite」を組み合わせることで、必要な処理の性能を上げることができる[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 リアルタイム制御をさらに向上すべく、高速なeGTMタイマーや高分解能PWM(パルス幅変調)を追加した他、PPUと低遅延で接続するインターコネクトも付け加えた。インフィニオン オートモーティブ事業本部 マイコン製品担当 プロダクトマネジメントマネージャーを務める木寺俊郎氏は、「これらは、パワートレインの領域から採用が伸びていったAURIXマイコンの軸となる性能だ」と語る。「特にプロセッサユニットと、タイマーなどアクチュエーションとの接続では、遅延が高いと現実世界での処理が速く感じられない。そのため、新たに低遅延のローカルバスを追加した」(木寺氏)

 コネクティビティについては、DREのアクセラレーターを用意している他、5Gbps(ビット/秒)イーサネットやPCI Express、10BASE-T1S、CAN XLなど、ネットワークへの対応も拡張。イーサネットのブリッジも追加した。これらにより、「CPUの通信負荷を軽減しつつ、セーフティクリティカルなリアルタイム通信を実現する」(木寺氏)

 さらにAURIX TC4xでは、ドメイン型やゾーン型といった次世代のE/Eアーキテクチャを見据え、1コア当たり最大8個の仮想マシンを構築できる。木寺氏は「これにより、E/Eアーキテクチャの変更に伴ってECUの機能の“載せ替え”が容易になる」と説明する。「従来のECUの機能をセントラルECUに置き換えていく場合、仮想マシンを用いることで最大8個の異なるアプリケーションを搭載することが可能になり、干渉の検証の手間も減る。こうした機能がなければ、ECUの各機能を一気に集約してソフトウェアを組み直すという、過酷な作業が発生してしまう」(木寺氏)

次世代のE/Eアーキテクチャの要件に応えるAURIX TC4xの機能[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 さらに今回、開発期間を短縮すべく、Synopsysの「Synopsys Virtualizer Development Kit」でAURIX TC4xの仮想プロトタイプが可能になっている。このため、ハードウェアが無くても開発をスタートできるようになる。「シリコンがなくても、PCの環境で開発や検証が可能だ」(木寺氏)。実デバイスがある場合には、SynopsysのSDK(ソフトウェア開発キット)「ARC MetaWare Toolkit for AURIX TC4x」で開発を始められる。

 AURIX TC4xは、先行顧客に向けて28nm世代品のサンプル出荷を開始している。

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