大阪大学は、可視光照射下で水と酸素から過酸化水素を生成するための直鎖高分子光触媒「poly23DHN」を開発したと発表した。太陽光エネルギーを利用し低コストで大規模に過酸化水素を製造することが可能となる。
大阪大学大学院基礎工学研究科化学工学領域/附属太陽エネルギー化学研究センターの吉田光希大学院生(博士後期課程3年)、白石康浩准教授、平井隆之教授らによる研究グループは2026年6月、可視光照射下で水と酸素(O2)から過酸化水素(H2O2)を生成するための直鎖高分子光触媒「poly23DHN」を開発したと発表した。太陽光エネルギーを利用し低コストで大規模にH2O2を製造することが可能となる。
H2O2は、漂白剤や消毒剤などに用いられる化学物質で、燃料電池の燃料となる液体エネルギーキャリアとしても注目されている。特に光触媒反応では太陽光エネルギーを用いてH2O2を合成できるため、省エネルギーを実現できる技術として期待されている。ただ、実用化に向けては光触媒をシート状に成型加工するのが難しかったという。
そこで研究グループは、有機溶媒に溶ける半導体固体の開発に取り組んだ。具体的には、安価な23DHNを常温、常圧下で酸化重合し、poly23DHN粉末を合成した。直鎖高分子であるpoly23DHNは、アセトンやエタノールなどの有機溶媒に溶ける。しかし、水には溶けず自発的に半導体固体となる。
poly23DHN粉末を水に分散させ、O2が存在するなかで可視光を照射すると、H2O2が効率よく生成された。一方、poly23DHN粉末をアセトニトリルと水の混合溶媒に溶かして光照射しても、H2O2はほとんど生成されないという。
光触媒シートは、poly23DHNを溶かした有機溶液をガラスや綿布などの基板上に滴下し、室温で乾燥させれば完成する。つまり、「塗って乾かす」という比較的簡単な操作で作製できるというわけだ。この光触媒シートを水に浸し、O2が存在するなかで光を照射すると、poly23DHNは剥がれることなくH2O2を継続的に生成することが分かった。シートを取り除けば、純粋なH2O2溶液を取り出すことができる。
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