大阪大学は、光回路によるスケーラブルなレーザー光配送構成を考案した。これによって、1チップ当たり数百量子ビットを扱えるイオントラップ量子コンピュータの実現可能性を示した、としている。レーザー光源の改良などが進めば、考案した光回路で数千量子ビットを制御できるとみている。
大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)の長田有登准教授や宮西孝一郎講師(現在はQubitcore)らによる研究グループは2026年1月、光回路によるスケーラブルなレーザー光配送構成を考案したと発表した。これによって1チップ当たり数百量子ビットを扱えるイオントラップ量子コンピュータの実現可能性を示した、としている。レーザー光源の改良などが進めば、考案した光回路で数千量子ビットを制御できるとみている。
イオントラップ量子コンピュータは、操作精度の高さから量子計算のハードウェアとして注目されている。ただ、量子ビットの制御にはさまざまな波長のレーザー光を複数箇所に照射しなければならない。このため、レーザー光を配送するための光回路をスケーラブルに構成する必要があった。
研究グループは、量子CCDアーキテクチャを前提としたイオントラップ量子コンピュータを視野に入れ、課題解決に取り組んだ。このアーキテクチャでは、単一チップ上にさまざまな機能を持つ多数のイオン捕獲ゾーンが並んでいるという。このため、各捕獲ゾーンには複数波長のレーザー光をセットにして配送する必要がある。
そこで今回は、「初めにレーザー光を分配し、後で並べ替えを行う手法」と、「レーザー光の分配と並べ替えを交互に行う手法」を考案し、それぞれの手法で必要となる素子数や全光パワーの効率について調べた。
この結果、全光パワーの効率を比べると「分配と並び替えを交互に行う手法」が優れていることが分かった。市販のレーザーシステムを用いても数百量子ビットのイオントラップ量子コンピュータに対し、十分なパワーのレーザー光を供給できることを確認した。
研究グループによれば、光回路素子のロス低減やレーザー光源の改良、量子光接続技術の適用などによって、数千量子ビットを制御できるイオントラップ量子コンピュータについても実現可能とみている。
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