2014年には「東京大学レアアース泥開発推進コンソーシアム」が設立。2026年現在は「東京大学レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム」として56の企業/機関が参画し、レアアース泥の開発を進める。
南鳥島EEZのレアアース泥は水深約5500mの海底に位置するが、同コンソーシアムは引き揚げの手段として「エアリフト」を用いる。エアリフトはこれまでに深海石油開発や海底資源開発で用いられてきた手法で、経済産業省が2016年に掲出した報告書でも「最適と考えられる生産システム」だとされている。
同報告書では「産業化には最低でも1日当たり、乾燥重量で3500トンの揚泥が必要」ともされるが、加藤氏は「すでに実績のある手法を水深5500mに適用するだけで、技術的には問題ない」と述べる。
2025年からは日本財団の支援のもと、米Deep Reach Technologyおよびスイス/オランダAllseasと連携し、コバルト(Co)やニッケル(Ni)などを含むマンガンノジュールの揚鉱試験を進めている。2024年に行った調査では、調査海域だけで約2億3000万トンのマンガンノジュールが発見された。うちCoは約61万トンと、日本の年間消費量の75年分以上に相当する。
加藤氏は「さまざまな工夫が必要だが、マンガンノジュールの開発システムを確立すれば、ほかのレアアース泥にも適用できる。一気に産業化まで持っていきたい」とした。
南鳥島EEZのレアアース泥は経済性評価もなされているが、産業化した場合、中国がダンピングを仕掛けてくる可能性がある。これについて、加藤氏は「政府が差額補填型の支援を行えば対抗できる」と述べる。
「1日当たり3500トン開発できると考えた場合、それで国内需要の約30%をまかなえる。国産品が輸入品より割高になったときは、政府が差額を補填して、業者の収入を保証する。残り70%は引き続き中国から輸入するが、ダンピングによってむしろ安く購入できるため、トータルで見れば利益が大きい。日本は得をしつつ、中国を揺さぶることができる戦略だ」(加藤氏)
同時に加藤氏は「国内での精錬に向けた支援も必要だ」とする。「もともとレアアースの精錬技術は日本で生まれたが、中国の成長に伴い縮小した。信越化学工業などが精錬事業を行っているため、設備投資すれば国内で精錬できるが、技術者は定年を迎えつつある。国が支援して精錬を国内で実施できるようになれば、日本のものづくりとも連携して、日本がレアアースのサプライチェーンの中核を担う存在になれる」(加藤氏)
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