モバイルネットワークのデータトラフィック量は年々増加していて、2026年第1四半期の月間トラフィックは210エクサバイト(EB)に到達した。近年のトラフィック量増加の主な要因が動画コンテンツの消費拡大で、2025年末時点で、トラフィック全体の75%を動画が占めた。
5Gの普及は進むが、2025年の時点で、中国を除くと世界の半分が5Gカバレッジ外にある状況だ。特にミッドバンド5Gのカバレッジは地域差が大きく、ロシアを除く欧州は5G全体のカバレッジが80%なのに対し、ミッドバンド5Gのカバレッジは60%にとどまっている。「中国を除く全世界では、5G基地局のミッドバンド対応率は約35%しかない。逆に言えば手を打つ余地が多く、ミッドバンド対応基地局の拡大は今後の目標でもある」(鹿島氏)
固定無線アクセス(FWA)接続数も増加傾向にあり、2026年にはFWA提供事業者の5G導入率が71%に達した。2025年4月からの増加率は14ポイントと、過去4年間(2022〜2026年)で最高の伸びを記録した。同時に5G FWAサービスでは、通信速度によって金額が変わる料金サービスの採用も進む。
鹿島氏は「5G展開の成熟度とFWA収益化の成熟度には、一定の相関が見られる」と述べる。「ミッドバンド5Gで広帯域を提供できるようになることで、速度ベース料金サービスの導入など、サービスの差別化にもつながる。ミッドバンドの提供は収益化のチャンスを増やすことができる」(鹿島氏)
近年のトレンドとして、トラフィックにおけるアップリンクの増加がある。2025年には、世界55社の通信事業者のうち43社で、アップリンクの増加率がダウンリンク増加率を上回り、うち17社はダウンリンクの1.5倍以上の増加率だった。
鹿島氏は「アップリンク増加の要因として、AIの普及が影響している可能性がある」と述べる。「例えば外出先で知らないものを見たとき、スマホで写真を撮ってAIに聞いてみることがすでに一般化している。個人端末だけでなく、産業分野でもAIの導入が進んでいる。他にもさまざまな要因があるが、2031年のアップリンク量は控えめに見ても2025年の2倍、大きく見積もれば5倍になるだろう」(鹿島氏)とする。
同時に、従来のネットワークはダウンリンクのパフォーマンス向上に主眼を置いていたため、今後のアップリンク増加に対応できない可能性もある。「現在も5G SAによる最適化やプライマリセル(PCell)選択によるパフォーマンス改善など、アップリンクのパフォーマンス向上に向けた技術開発が進んでいる。それで一定の効果は見込めるが、将来的なAIユースケースに対応するには、パフォーマンスを大きく改善するための努力が求められる」(鹿島氏)
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