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ネットワークの大規模化と高速化が電気から光への転換を促す福田昭のデバイス通信(513) TSMCが解説する最新のパッケージング技術(10)(1/2 ページ)

「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。今回は、「(4)Energy efficient of scale-up networking(ネットワークの大規模化おける消費エネルギー(転送データ当たり)の効率)」を取り上げる。

» 2026年04月03日 11時00分 公開
[福田昭EE Times Japan]

転送データ当たりのエネルギー効率が低下

 2025年12月に開催された国際学会IEDMのショートコース(技術解説)で、シリコンファウンドリー最大手のTSMCが最新のパッケージング技術を説明した。講演のタイトルは「Advanced Packaging and Chiplet Technologies for AI and HPC Applications(AIおよびHPCに向けた先端パッケージング技術と先端チップレット技術)」、講演者はAdvanced Package Integration Division R&DのディレクターをつとめるJames Chen氏である。大変に参考となる内容だったので、その一部をシリーズでご紹介している。ただし講演内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演内容を筆者が適宜、補足してある。あらかじめご了承されたい。

講演「Advanced Packaging and Chiplet Technologies for AI and HPC Applications(AIおよびHPCに向けた先端パッケージング技術と先端チップレット技術)」のアウトライン[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから) 講演「Advanced Packaging and Chiplet Technologies for AI and HPC Applications(AIおよびHPCに向けた先端パッケージング技術と先端チップレット技術)」のアウトライン[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)

 タイトルスライドの次に示されたアウトラインは、「AI and HPC Market Outlook(AIとHPCの市場を展望)」「Advanced Package Technology Evolutions(先進パッケージ技術の進化)」「System-Technology Co-Optimization (STCO)(システムと製造の協調最適化)」「Emerging Advanced package technology(次世代の先進パッケージ技術)」「Summary(まとめ)」となっていた。

 本シリーズの第5回からは、アウトラインの第3項「System-Technology Co-Optimization (STCO)(システム・製造協調最適化)」に相当する部分の説明に入った。先進パッケージ「CoWoS-L(LSI+RDL interposer)」を例に、STCOで考慮すべき5つの項目を順に説明している。

 前々回前回は3番目の項目「(3)Thermal dissipation design(消費電力および放熱の設計)」を前後編で概説した。今回は4番目の項目「(4)Energy efficient of scale-up networking(ネットワークの大規模化おける消費エネルギー(転送データ当たり)の効率)」をご紹介する。

STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき事柄。先進パッケージ「CoWoS-L(LSI+RDL interposer)」の例[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから) STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき事柄。先進パッケージ「CoWoS-L(LSI+RDL interposer)」の例[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき5つの項目。TSMCの講演スライドに記述された項目を、筆者が和訳したもの[クリックで拡大] STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき5つの項目。TSMCの講演スライドに記述された項目を、筆者が和訳したもの[クリックで拡大]

転送周波数の向上が銅線の伝送損失を急激に高める

 銅配線や銅ケーブルなどの金属による信号接続は、距離と周波数によってビット当たりの転送エネルギーが大きく左右される。400Gbps(Gビット/秒)/レーンを前提に消費エネルギーを考えよう。

 先進パッケージ「CoWoS-L」の内部では転送距離が0.2mm程度と短い。ビット当たりの転送エネルギーは0.3pJ(ピコジュール)にとどまる。パッケージ基板になると転送距離が30mm(3cm)前後と150倍に延びる。消費エネルギーは1.5pJに増加する。プリント回路基板(PCB)になると転送距離は30cmとさらに延び、消費エネルギーは6.0pJとさらに増える。

 そしてプリント回路基板間を接続する銅ケーブルになると、転送距離は1m前後となり、消費エネルギーは30pJ以上とかなりの大きさになる。銅ケーブル信号チャンネルの伝送損失は120GHzで約−50dBに達する。

データ転送距離が延び、データ転送速度(および転送周波数)が高まることで1ビット当たりの転送エネルギーと伝送損失が増加する。電気接続の限界が近づく[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから) データ転送距離が延び、データ転送速度(および転送周波数)が高まることで1ビット当たりの転送エネルギーと伝送損失が増加する。電気接続の限界が近づく[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
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