千葉工業大学や名古屋大学、東北大学および、東京理科大学の研究グループは、これまで見ることができなかったリチウムイオン電池の複合電極における局所的な電気化学反応を、ナノスケールで可視化することに成功した。複合電極の「どの材料が、どの場所で、どのような反応をしているか」を解明可能となる。
千葉工業大学の熊谷明哉教授、名古屋大学の高橋康史教授、井田大貴講師、東北大学の珠玖仁教授、東京理科大学の駒場慎一教授らによる研究グループは2026年8月、これまで見ることができなかったリチウムイオン電池の複合電極における局所的な電気化学反応を、ナノスケールで可視化することに成功したと発表した。複合電極の「どの材料が、どの場所で、どのような反応をしているか」を解明することが可能になる。
リチウムイオン電池の電極は、「活物質」「導電助剤」「バインダー」など複数の材料で構成されている。このため、電極内部では材料の種類や分布、界面状態が場所ごとに異なり、電気化学反応も均一には進まないという。ところが、一般的な電気化学測定では、場所ごとの反応の違いなどは平均化され、これらを見極めることは難しかった。
そこで研究グループは、ナノ電気化学セル顕微鏡(SECCM)を用いて、シリコン−グラファイト複合負極の局所的な電気化学反応を調べた。開口径が約100nmというナノピペット先端に形成される微小な電解液メニスカスを電極表面に接触させ、極めて小さい領域での電気化学反応を測定した。
今回の実験ではシリコン、フレーク状グラファイト、導電助剤、PAAバインダーで構成される複合負極を対象に、有機電解液を用いて局所測定を行った。測定系はアルゴン雰囲気のグローブボックス内に構築し、ナノピペット内の電解液はゲル化した。こうした条件下で局所的なサイクリックボルタンメトリー測定を行うことで、場所ごとに異なる電気化学応答が得られた。
この結果、電極表面の局所反応を「グラファイトが支配的な領域」「シリコンが支配的な領域」「シリコン−グラファイトが混合する領域」として、識別できることを実証した。負極表面の界面形成にかかわる局所反応を解析したところ、一部の測定場所では初回測定時に約1.1Vvs.Li/Li+付近にSEI被膜形成に伴う反応応答が見られた。89地点を測定したところ同様の反応が30地点で確認された。このことから、SEI被膜形成に伴う界面反応が電極表面全体で起きているわけではないことが判明した。
さらに、7×7μmの領域について局所測定を行い、各地点の電気化学反応を可視化した。これにより、複合電極上での活物質が分散して存在する様子を電気化学反応の違いとして表すことができた。SEI形成に関連する反応に関しては、複合電極の各所に不均一に分布していることを確認した。
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