西江大学校と自然科学研究機構分子科学研究所/総合研究大学院大学の研究グループは、次世代電池用の固体電解質中で、リチウムイオンが動く仕組みを分子レベルで解明した。これにより、リチウムイオンの移動は周囲の陰イオンがつくるイオンゲージの協同的な再配列によって起こることが判明した。
西江大学校化学科のBong June Sung教授と自然科学研究機構分子科学研究所/総合研究大学院大学の斉藤真司教授らによる研究グループは2026年7月、次世代電池用の固体電解質中で、リチウムイオンが動く仕組みを分子レベルで解明したと発表した。これにより、リチウムイオンの移動は周囲の陰イオンがつくるイオンゲージの協同的な再配列によって起こることが判明した。
次世代電池用の固体電解質として、有機イオン性プラスチック結晶(OIPC)が注目されている。固体でありながら内部の分子やイオンがその場で活発に回転する「やわらかい固体」のためだ。このOIPCを用いて高性能かつ安全な電池材料を設計するためには、電解質中でリチウムイオンがどのように、どれだけ速く移動できるかを具体的に検証しておく必要がある。
OIPC中におけるイオン伝導はこれまで、分子やイオンの回転運動により、リチウムイオンを押し出す「パドルホイール機構」が主な仕組みと考えられてきた。しかし、それぞれのリチウムイオンがどのように移動するかまでは十分に解明されていなかった。
研究グループは今回、分子動力学(MD)シミュレーションとホップ関数解析を用い、OIPC中のイオン運動を分子レベルで調べた。解析したところ、大きなイオンの移動は周囲の分子やイオンの回転運動と相関していることが分かった。この結果は、パドルホイール機構と整合性があるという。ところが、リチウムイオンのジャンプは、周囲の回転運動とは相関がほとんどなかった。
今回の研究により、リチウムイオンから4番目と5番目に近い陰イオンが入れ替わるよう協同的に動くことで古いゲージが開き、これと同時にリチウムイオンを迎える新たなゲージが形成されることを突き止めた。ゲージの開閉によってリチウムイオンは隣接する新たなゲージに移動するという。
さらに、リチウムイオンを取り囲む陰イオンの数が2個まで減少する「開いた」状態になると、リチウムイオンのホップ速度が最大で約1万倍になることも分かった。こうしたことから、リチウムイオンの移動を支配しているのは、周囲のイオンがつくる「イオンゲージ」の協同的な再配列であることが分かった。
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