メディア

MEMS一体型単結晶ダイヤモンド量子センサー実現微小カンチレバー内にNVセンター

東北大学の研究グループは、物質・材料研究機構(NIMS)と共同で、量子センシング機能と機械構造を単一のダイヤモンドMEMS内部に集積するための技術を開発した。高度な応力センシングへの応用に期待する。

» 2026年09月07日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

曲げ応力に対し19.8MHz/GPaの感度で直線的に応答

 東北大学大学院工学研究科の戸田雅也准教授らによる研究グループは2026年9月、物質・材料研究機構(NIMS)と共同で、量子センシング機能と機械構造を単一のダイヤモンドMEMS内部に集積するための技術を開発したと発表した。高度な応力センシングへの応用に期待する。

 研究グループは今回、単結晶ダイヤモンド(SCD)で作製したMEMSカンチレバーの内部に、NVセンター(窒素−空孔センター)領域を直接形成することに成功した。NVセンターは磁場や温度、応力などを検出できる量子センサーとして注目されている。

 具体的な作製プロセスはこうだ。まず、SCD基板に炭素イオンを注入し、内部にグラファイト層と欠陥層を形成する。熱処理した後にグラファイト層を犠牲層として除去し、ダイヤモンドカンチレバーを作製した。その形状は長さ約140μm、幅約10μm、厚み約450nmである。熱処理の過程において、イオン注入で生じた空孔とダイヤモンド中の窒素不純物が結合し、欠陥層の近傍にNVセンターを含む領域が形成されるという。ここが応力の検出部になる。

作製した単結晶ダイヤモンドMEMSカンチレバー[クリックで拡大] 出所:東北大学

 試作品を用いた実験では、カンチレバーを28.3kHzで振動させ、静磁場を4つあるNVセンター結晶軸の1つにほぼ一致させて光検出磁気共鳴(ODMR)を測定した。なお、カンチレバー先端の変位はレーザードップラー振動計で測定し、表面の曲げ応力に換算した。

 この結果、引っ張り曲げでは共鳴周波数が高周波側へ、圧縮曲げでは低周波側へそれぞれシフトした。0.2Vppおよび0.4Vppの駆動条件において、それぞれ約2.0±0.5MHzおよび、0.4±0.5MHzの周波数シフトを観測。曲げ応力に対し19.8MHz/GPaの感度で直線的に応答することが分かった。さらに、ODMR周波数シフトが、カンチレバーの振動位相に同期して周期的に変化することも確認した。

動的曲げ応力のODMR検出結果[クリックで拡大] 出所:東北大学

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.